大気中の水蒸気から固体表面上に吸着した数ナノメータ厚の水膜は、水バルク(液相)とは異なる性質を持つ。この数ナノメータ厚の水膜を「ナノ水膜」と名付けた。周波数変調原子間力顕微鏡(FM-AFM)を用いて、ナノ水膜/固体界面の観察・解析を行い以下の結果を得た。ナノ水膜内では、ナノ水膜厚が薄いほど、水和層間隔は狭く、水分子およびイオンの移動度は低く、よって、通常の飽和溶液/固体界面で頻繁に起こっている溶解析出反応は抑制される。しかし、ナノ水膜で被われたKBr結晶表面を探針で加圧するとKBrが一原子毎に溶解し、圧力がなくなると瞬時に同じ場所に析出する。ナノ水膜中でのみ発現する力学的触媒作用を発見した。
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