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2020 年度 実施状況報告書

新規質量分析PESI/MS/MSによる簡便・迅速な作物のメタボローム解析法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K20372
配分区分基金
研究機関名古屋大学

研究代表者

白武 勝裕  名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (90303586)

研究分担者 財津 桂  名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (30700546)
林 由美  名古屋大学, 医学系研究科(保健), 講師 (30632707)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワードメタボローム解析 / 農作物 / PESI/MS/MS / 探針エレクトロスプレー/タンデム質量分析 / 非破壊・リアルタイム解析
研究実績の概要

[1,植物の組織・器官の直接解析],[2,植物からの抽出物の解析],[3,植物の代謝のリアルタイム・モニタリング],[4,植物の細胞・組織・器官の代謝物イメージング],[5,植物ホルモンの定量],[6,農作物の残留農薬の分析]の6つの分析法の確立とその実証例の提示を目標に掲げた.3年目(2020年度)は,2年目(2019年度)から継続の3および5と6の実施を計画したが,新型コロナウイルスの影響を受け,3と5については計画した一部の実験の実施に留まり,6については実施できなかった.
3,植物の代謝のリアルタイム・モニタリング:当初計画した,光のON-OFFにより動く光合成関連一次代謝経路(カルビン回路)の代謝物の測定を試みたが,上手く代謝物変化を捉えることができなかった.これは,代謝反応が速く(瞬間的な代謝物の蓄積量が少なく)上手く測定できないことが原因だと考えられる.そのため,4年目(2021年度)は,病原菌の感染により変化する二次代謝物のリアルタイム・モニタリングを試みる.
5,植物ホルモンの定量:2年目(2019年度)にPESI/MS/MSで検出できることが確認できたGA3について,GA3標品を用いて検量線の作成を試み,検量線の作成に成功した.しかしながら,実試料(イチゴの葉)を用いた測定でGA3を検出ができなかった.これは,試料に含まれる夾雑成分のマトリクス効果あるいはGA3の濃度の低さによるものと考えられる.今後 GA3含量が多い植物試料における測定を実施すると共に,他の植物ホルモンの分析を実施する.
また,PESI/MS/MS による質量分析からデータ解析までを全自動で一気貫通で行うプラットフォームPiTMaPを開発した.このPiTMaPは動物の代謝物測定用に開発したものであるが,植物の代謝物測定においても質量分析からデータ解析までを全自動することは重要であり,今後PiTMaPを植物の代謝物測定にも応用して行く.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

当初計画では,[1,植物の組織・器官の直接解析],[2,植物からの抽出物の解析],[3,植物の代謝のリアルタイム・モニタリング],[4,植物の細胞・組織・器官の代謝物イメージング],[5,植物ホルモンの定量],[6,農作物の残留農薬の分析]の6つの分析法の確立とその実証例の提示を目標に掲げた.1年目(2018年度)は当初計画通り1と2を実施し,完了した.2年目(2019年度)は,当初計画では3と4を実施予定であったが,これを変更して4と5を実施し,3年目(2020年度)に3と6を実施するように,計画を変更した.
2年目(2019年度)に[4,植物の細胞・組織・器官の代謝物イメージング]は完了することができたが,[5,植物ホルモンの定量]については実験が遅れ,3年目(2020年度)に継続実施することとした.3年目(2020年度)は,新型コロナウイルスの影響を大きく受け,[3,植物の代謝のリアルタイム・モニタリング]と[5,植物ホルモンの定量]については一部の実験を実施するに留まり,[6,農作物の残留農薬の分析]については実施ができなかったため,研究期間を延長し,4年目(2021年度)に実施することとした.現在,新型コロナウイルスの影響を受けながらも,通常レベルに近い実験の実施可能となっており,残った実験を2021年度中に完了したい.

今後の研究の推進方策

当初計画では,[1,植物の組織・器官の直接解析],[2,植物からの抽出物の解析],[3,植物の代謝のリアルタイム・モニタリング],[4,植物の細胞・組織・器官の代謝物イメージング],[5,植物ホルモンの定量],[6,農作物の残留農薬の分析]の6つの分析法の確立とその実証例の提示を目標に掲げた.1年目(2018年度)と2年目(2019年度)において1,2,4を完了し,3年目(2020年度)に3,5,6を実施する予定であったが,新型コロナウイルスの影響を大きく受け実験を完了できなかったたため,研究期間を延長し,4年目(2021年度)に実施する.
[3,植物の代謝のリアルタイム・モニタリング]については,光合成関連一次代謝経路の代謝物の測定を試みたが,代謝反応が速く(瞬間的な代謝物の蓄積量が少なく)上手く測定できない可能性が考えられたため,4年目(2021年度)は,病原菌の感染により変化する二次代謝物のリアルタイム・モニタリングを試みる.[5,植物ホルモンの定量]については,GA3標品を用いた検量線の作成に成功したが,実試料(イチゴの葉)を用いた測定でGA3を検出ができなかった.これは,試料に含まれる夾雑成分のマトリクス効果あるいはGA3の濃度の低さによるものと考えられ,GA3含量が多い試料を用いた測定を実施する.また,ジベレリン類以外の植物ホルモン(オーキシン類,サイトカイニン類,アブシジン酸,ブラシノステロイド類,ジャスモン酸類,サリチル酸,ストリゴラクトン類など)についても測定を試みる.

次年度使用額が生じた理由

基本的に新型コロナウイルスの影響による実験の遅延によるものであり,遅延により次年度に持ち越した実験の遂行に必要な「物品費(消耗品費)」,981,313円の繰越を希望する.

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] A highly sensitive quantification method for 12 plant toxins in human serum using liquid chromatography tandem mass spectrometry with a quick solid-phase extraction technique2021

    • 著者名/発表者名
      Masaru Taniguchi, Tomiaki Minatani, Hitoshi Miyazaki, Hitoshi Tsuchihashi, Kei Zaitsu
    • 雑誌名

      Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis

      巻: 192 ページ: 113676-113676

    • DOI

      10.1016/j.jpba.2020.113676

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 簡便・迅速な新規質量分析技術 PESI/MS/MS2020

    • 著者名/発表者名
      白武勝裕,財津桂
    • 雑誌名

      アグリバイオ

      巻: 4(9) ページ: 60-63

  • [雑誌論文] PESI/MS/MSの農作物品質成分分析への活用2020

    • 著者名/発表者名
      白武勝裕,財津桂
    • 雑誌名

      アグリバイオ

      巻: 4(12) ページ: 94-97

  • [雑誌論文] PiTMaP: A new analytical platform for high-throughput direct Metabolome analysis by probe electrospray ionization/tandem massspectrometry using an R software-based data pipeline2020

    • 著者名/発表者名
      Kei Zaitsu, Seiichiro Eguchi, Tomomi Ohara, Kenta Kondo, Akira Ishii, Hitoshi Tsuchihashi, Takakazu Kawamata, Akira Iguchi
    • 雑誌名

      Analytical Chemistry

      巻: 92 ページ: 8514-8522

    • DOI

      10.1021/acs.analchem.0c01271

    • 査読あり
  • [雑誌論文] RECiQ: A rapid and easy method for determining cyanide intoxication by cyanide and 2-aminothiazoline-4-carboxylic acid quantification in the human blood using probe electrospray ionization tandem mass spectrometry2020

    • 著者名/発表者名
      Kazuaki Hisatsune, Tasuku Murata, Koretsugu Ogata, Minemasa Hida, Akira Ishii, Hitoshi Tsuchihashi, Yumi Hayashi, Kei Zaitsu
    • 雑誌名

      ACS Omega

      巻: 5 ページ: 23351-23357

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 探針エレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析(PESI/MS/MS)を用いた園芸作物のアントシアニン分析2021

    • 著者名/発表者名
      石橋美咲,財津桂,原田亮太,瀧萌子,太田垣駿吾,松本省吾,白武勝裕
    • 学会等名
      令和3年度園芸学会春季大会
  • [学会発表] 抽出や前処理を必要としない簡便・迅速な代謝物分析技術PESI/MS/MS2020

    • 著者名/発表者名
      白武勝裕
    • 学会等名
      第15 回トランスポーター研究会年会
    • 招待講演
  • [学会発表] 植物科学および農業分野におけるアンビエントイオン化質量分析の活用の可能性2020

    • 著者名/発表者名
      白武勝裕
    • 学会等名
      第2回「アンビエントイオン化MS次世代応用研究会」
  • [学会発表] PiTMaP: a new analytical platform for high-throughput direct metabolome analysis using PESI/MS/MS with the R software-based data pipeline2020

    • 著者名/発表者名
      Kei Zaitsu, Seiichiro Eguchi, Tomomi Ohara, Akira Ishii, Takakazu Kawamata, Akira Iguchi
    • 学会等名
      68th ASMS Conference on Mass Spectrometry and Allied Topics
    • 国際学会
  • [学会発表] 研究会の設立趣旨とアンビエントイオン化MSを用いた研究紹介2020

    • 著者名/発表者名
      財津桂
    • 学会等名
      アンビエントイオン化MS次世代応用研究会
  • [学会発表] PESI/MS/MSを用いたリアルタイム・メタボローム解析とBioinformaticsを融合したHigh-throughput platform: PiTMaPによる代謝プロファイリング2020

    • 著者名/発表者名
      財津桂
    • 学会等名
      第166回 質量分析関西談話会
    • 招待講演
  • [学会発表] 新たな代謝解析プラットフォーム:PiTMaPとマウス脳内代謝物のダイナミクス解析2020

    • 著者名/発表者名
      財津桂
    • 学会等名
      日本質量分析学会
    • 招待講演
  • [図書] 野菜園芸学 第2版 「ゲノム関連技術(DNAマーカー選抜育種とゲノミックセレクション,オミクス,遺伝子組換えとゲノム編集)」2020

    • 著者名/発表者名
      白武勝裕
    • 総ページ数
      11
    • 出版者
      文永堂出版
    • ISBN
      4830041374
  • [備考] in vivo リアルタイム・オミクス研究室

    • URL

      http://www.aip.nagoya-u.ac.jp/ru/menu_b/post-33.html

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公開日: 2021-12-27  

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