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2018 年度 実績報告書

膜蛋白質結晶中の脂質二重膜の可視化技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 18H05367
配分区分補助金
研究機関東京大学

研究代表者

豊島 近  東京大学, 定量生命科学研究所, 教授 (70172210)

研究分担者 秋葉 俊彦  東京大学, 定量生命科学研究所, 特任研究員 (80291889)
研究期間 (年度) 2018-06-29 – 2021-03-31
キーワード膜蛋白質 / 結晶解析 / 脂質二重膜 / 結晶大型化
研究実績の概要

本研究では、第一に、膜蛋白質結晶中の脂質二重膜を可視化する技術を確立し、燐脂質と膜蛋白質との相互作用の詳細を明らかにすることを目指している。具体的には、脂質二重膜からの寄与が大きい分解能10 Åよりも低角の反射点の位相を決定する技術を確立することである。第二に、これまでに開発してきた溶媒コントラスト変調法を発展させることを目指し、前提となる膜蛋白質結晶の大型化技術の開発を目指している。
低角反射点の位相決定に関しては、重原子同型置換法の適用を目指し、実験手法の改善を図った。前提となるのは、結晶中での蛋白質の配置を変えることなく回折強度を十分変化させる重原子試薬である。その同定のために多数の重原子化合物とクラスターを実際の結晶に添加し、SPring-8で回折強度データを収集した。その結果、有望なものが複数同定された。そこで、位相付けを可能にする精度があるかを反射点ごとに検討するためのソフトウェアを開発し、まずは位相が0°か180°に限定される反射点を用いて予備的検討を行なった。
結晶の大型化に関しては、これまでに多くの経験を積んだカルシウムポンプ蛋白質を用い、基礎となる相図作製のための結晶化実験を行なった。種結晶を使う方法や、結晶中に組み込まれることによって減少する蛋白質を補填することなど種々の方法を試した。ある程度大きくできるものの、その効果は限定的であり、生理的状態によっては沈殿剤が無くても結晶化が起こる、微結晶の発生を抑えられないなどの問題点も明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

適当な重原子クラスターが見つかるかが最初の関門であったが、複数の有用な化合物を見出すことができた。また、測定精度や位相の決まり具合をグラフィカルに検討できるソフトウェアも初期的なものの作製には成功し、期待を持てる結果が得られている。結晶の大型化に関して基礎となる相図の作成も遂行することができ、初年度としてはまずまずの結果と考える。

今後の研究の推進方策

これまでに開発してきた溶媒コントラスト法を適用できる新たな結晶が得られたが、これまでに対処していなかった結晶系に属するためソフトウェアを拡充する必要があることが判明した。結晶の大型化のためのアイデアは色々あるが、開発した技術は、脂質二重膜の可視化のためのみならず、通常の膜蛋白質構造決定のためにも極めて有用であった。そのために、本来の目標とはやや異なるが、微小結晶への適用も追及したい。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件、 招待講演 7件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] X線コントラスト変調法によって明らかになった膜蛋白質と燐脂質の相互作用のダイナミクス2018

    • 著者名/発表者名
      豊島 近、乗松 良行
    • 雑誌名

      放射光

      巻: 31 ページ: 212-218

    • 査読あり
  • [学会発表] P 型 ATPase によるイオン輸送とその制御機構2019

    • 著者名/発表者名
      豊島 近
    • 学会等名
      日本薬学会 第139年会
    • 招待講演
  • [学会発表] Role of phospholipids in ion pumping2018

    • 著者名/発表者名
      豊島 近
    • 学会等名
      5th ShanghaiTech-SIAIS BioForum
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 原子構造に基づく筋小胞体カルシウムポンプの制御機構2018

    • 著者名/発表者名
      豊島 近
    • 学会等名
      日本筋学会第4会学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] カルシウムポンプの結晶構造解析の現状2018

    • 著者名/発表者名
      豊島 近
    • 学会等名
      第2回SPring-8における蛋白質構造生物学研究の現状と将来
    • 招待講演
  • [学会発表] Structural Biology of the Calcium Pump2018

    • 著者名/発表者名
      豊島 近
    • 学会等名
      第18回国際薬理学・臨床薬理学会議
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Structural Biology of Ion Pumps2018

    • 著者名/発表者名
      豊島 近
    • 学会等名
      Post Symposium
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Structural Biology of Ion Pumps2018

    • 著者名/発表者名
      豊島 近
    • 学会等名
      The 2nd International Symposium on Chemical Communication
    • 国際学会 / 招待講演
  • [備考] 豊島研究室ホームページ

    • URL

      http://www.iam.u-tokyo.ac.jp/StrBiol/index.html

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公開日: 2019-12-27   更新日: 2020-07-30  

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