研究課題
申請者は神経ペプチドPACAPの生体機能を20年にわたり調べてきた。我々は、ドライアイの発症にPACAPが直接関与する可能性を発見した(Nakamachi, Shiodaら、Nat Commun 2016)。すなわ ち、PACAP KOマウスでは涙液分泌の低下がおき、しかも高齢でメスのマウスに顕著に発症することも分かった。さらにこの動物個体では、角膜上皮細胞の増殖によ り、血管新生および角膜障害が発症するなどのドライアイ様の表現型を有することも明らかになった。さらに、PACAPの動物個体への投与により涙液分泌の促進作用のあることや、ドライアイの動物個体にPACAPを投与すると治療効果のあることを明らかにした。つまり、PACAPのドライアイ治療薬としての可能性のあることを我々は明らかにした。当該研究では、既存のドライアイ点眼薬では機能がないといわれる角膜上皮・内皮細胞の再生・新生および抗炎症作用についてもPACAPの機能をしらべた結果、ヒト培養角膜上皮細胞に障害を加えたモデルにPACAPを添加すると角膜上皮細胞の再生と新生の起きることを証明し現在論文作成中である。 また、PACAPが角膜内皮細胞の障害を防御できるかどうかについては培養細胞を使って機能的意義を調べている。PACAPの点眼は2時間の持続的涙液分泌促進作用があることが分かったので、ドライアイの予防改善以外に従来の点眼薬にない画期的な新規の点眼薬の創薬開発ができると考えている。角膜上皮細胞の再生・新生については欧州および日本国内で特許申請をすでに済ませている。近い将来、製薬企業と共同で新規のドライアイ予防・改善治療薬の創薬展開をすることを考えている。
すべて 2023 2022 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (23件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件) 図書 (1件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
International Journal of Molecular Sciences
巻: 24 ページ: 4169~4169
10.3390/ijms24044169
Molecules
巻: 28 ページ: 1565~1565
10.3390/molecules28041565
巻: 24 ページ: 4572~4572
10.3390/ijms24054572
Cell and Tissue Research
巻: - ページ: -
10.1007/s00441-023-03762-w
Pharmacology Research & Perspectives
巻: 10 ページ: -
10.1002/prp2.971
日本アロマセラピー学会誌
巻: 21 ページ: 40-48 2022
一般社団法人日本アロマセラピー学会誌
巻: 21 ページ: 5-14
日本栄養・食糧学会大会講演要旨集 76回
巻: - ページ: 230-230