研究課題/領域番号 |
20K20393
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
天野 敦雄 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (50193024)
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研究分担者 |
久保庭 雅恵 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (00303983)
坂中 哲人 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (90815557)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 歯周健康検査 / 唾液検査 / ポリアミン / バイオフィルム |
研究実績の概要 |
唾液は最も採取しやすい生体試料のひとつであり、唾液を利用して手軽に口腔や全身の健康状態の評価が可能となれば、「患者自身も自分の健康度と疾患状態を知る主治医となる」ことを主軸とした次世代の健康増進医療の普及、さらには健康長寿社会の達成に向けた動きを加速させると考えられる。本研究ではこうした背景のもと、①歯周病重篤度のバイオマーカーとなる唾液代謝物群の同定、②循環代謝疾患の疾患傾向を反映する唾液代謝物群の同定を進めてきた。 ①に関して、Ⅱ型糖尿病患者を含む61名の被験者から採取した唾液をガスクロマトグラフ質量分析系(GC-MS)を用いて解析し、得られた144個の代謝物プロファイルと歯周病由来慢性炎症を定量的に表現し得るPeriodontal Inflamed Surface Area (PISA)との相関関係を多変量解析の手法で解析した。その結果、複数の代謝物がPISAを有意に特徴づけ、中でも我々の既報の結果と同様に、ポリアミンの一種であるカダベリンが、PISAと有意に正の相関を示し、本化合物が頑強な歯周病重篤度マーカーとしての性質を具有していることが示唆された。この他、PISAと有意に負の相関を示す代謝物群も見出しており、こうした物質は歯周病重篤度のバイオマーカーとしてだけでなく、口腔プレバイオティクスとしての潜在性も秘めており、現在この両方の観点から研究を進めている。 ②に関して、循環代謝疾患の臨床指標としてHbA1c、ウェスト周囲径、血清コレステロール値(TG、HDL-C、LDL-C)等を用い、GC-MSによる唾液・血液代謝物プロファイルとの共変動を観察したところ、HbA1cと複数の単糖アナログが血液・唾液双方で共変動するとともに、脂質異常症においても複数のアミノ酸の共変動を認めた。
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