研究課題/領域番号 |
18H05392
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
曽我部 知広 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (30420368)
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研究分担者 |
臼田 毅 愛知県立大学, 情報科学部, 教授 (80273308)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2024-03-31
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キーワード | 数値線形代数 / 量子計算 |
研究実績の概要 |
本課題は、数値線形代数(線形方程式、固有値問題、特異値問題)の計算アルゴリズムの研究と量子アルゴリズムの研究を行い、それらを融合・協調させるものである。 その一環として2019年度は、(1)複数の線形方程式の解のノルムを効率よく計算する手法の提案、(2)線形方程式の定常反復法に基づく数値解法、(3)特殊な線形方程式に対して離散フーリエ変換を活用して効率よく解く手法の提案、(4)行列方程式をシンプルかつ在来研究が多い行列方程式に変換する理論の提案、(5)テンソル構造を持つ行列の特異値計算法の提案、そして(6)行列関数の量子アルゴリズムの提案を行った。これらは全て国際誌として掲載された。特に(6)は一般の行列関数とベクトルとの積に関する量子状態を計算する研究であり汎用性が高い研究である。一方、(3)では離散フーリエ変換を用いた数値計算法が提案されており、量子フーリエ変換との関連性に基づく量子アルゴリズムの研究展開が期待される。なお、(1)は最適化と関連しているため、量子計算による最適化への展開を考慮に入れて研究を進める布石といえる。 2019年1月に量子情報ミニワークショップを研究分担者と共に滋賀県にて開催し、本課題推進のための情報共有と密な打ち合わせを行い、量子情報理論・量子計算に関する最新の情報を共有した。 なお、本プロジェクトの支援的研究として量子回路のテストを行いやすくする試み「QISKit による行列関数に対する量子アルゴリズムの実装に向けたツールについて」を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り古典アルゴリズムの研究が進んでいること、および量子アルゴリズムの研究論文が採択されたことから順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究推進の方策を古典計算アルゴリズムと量子アルゴリズムに分けて簡潔に説明する。まず古典計算アルゴリズムに関しては、昨年度に引き続きテンソルの視点から行列方程式(線形方程式の拡張)の数値解法の開発を行う。数値解法としては反復解法に着目する予定である。次に量子計算アルゴリズムに関しても、昨年度に引き続き線形方程式の量子アルゴリズムの開発を行う。さらに今年度は、新たに量子アニーリングの視点から固有値問題の数値解法の検討を行うことを検討している。可能であれば、今年度の1月頃に昨年度と同様ワークショップを開催(共催)し、研究分担者と研究の進捗状況を確認することで次年度の研究方針を定める予定である。
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