研究課題/領域番号 |
18H05393
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
東野 輝夫 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (80173144)
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研究分担者 |
猿渡 俊介 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (50507811)
内山 彰 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (70555234)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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キーワード | バックスキャッター通信 / IoTデバイス / エナジーハーベスト / センシングシステム / 行動認識 / WiFi電波 / CSI |
研究実績の概要 |
一般にIoTデバイスでは、センシング、プロセス、通信の3つの処理に電力を消費するが、通信に要する電力消費が非常に大きく、IoTデバイスのインターネット接続のキーとなる技術は超低消費電力の通信方式の普及である。近年TVやWiFiなど環境に存在する電波を利用して消費電力が従来の10,000分の1程度(数十μW)に低減可能なアンビエントバックスキャッター通信と呼ばれる無線通信技術が開発されつつある。 本研究では、アンビエントバックスキャッター通信を用いてバッテリレスセンシングシステムを開発することを目的に、今年度は昨年度に引き続き、アンビエントバックスキャッター通信機能の性能改善やその機能を小型IoT機器として実装するための基礎研究に取り組んだ。具体的には、アンビエントバックスキャッター通信に基づき、ZigBeeやWiFi通信プロトコルを用いてインターネットとの接続を行えるような仕組みを考案し、電波伝搬解析ツールや電波暗室などを用いて実環境での性能を解析し、その性能の評価や改善、センシングシステムとしての実装可能性などを詳細に検討した。さらに、既存のZigBeeやWiFi通信との併用を考慮した通信方式などについて検討した。 さらに、人やモノの移動、ドアの開閉などに応じて、携帯電話基地局から発信される電波や建物内のWi-Fi基地局から発信される電波に乱れが生じることが知られている。そこで、今年度も昨年度に引き続き、このようなWiFi電波などのチャネル状態情報(Channel State Information, CSI)を用いて、人やモノの位置推定や行動認識がどの程度可能になるのか、などに関して、基礎的な実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は昨年度に引き続き、下記の4つのテーマに取り組んだ。 (a)アンビエントバックスキャッター通信の性能向上とバッテリレスIoTデバイスの開発:アンビエントバックスキャッター通信機能を小型 IoT機器として実装し、電波伝搬解析ツールなどを用いて実環境での性能を解析し、その性能向上策や環境からの雑音のフィルタリング法など、アンビエントバックスキャッター通信機能の安定した利用を図るための技術開発を行った。 (b)複数のバッテリレスデバイスを協調させたセンシング機構の考案:アンビエントバックスキャッター通信機能付きIoTデバイスの有用性を示すため、加速度や足圧が測定可能なウェアラブルセンサを複数衣服やベルト、靴に装着することを前提に、人の行動センシングを高精度且つ長期にわたって行う仕組みを検討した。振動センサなどの環境発電で得られた電力のキャパシタへの蓄電と人の行動センシングを周期的に繰り返す仕組みを構築したり、複数のウェアラブルセンサを相補的に利用してセンシングしたりする仕組みを検討した。 (c)対象領域での安定したアンビエントバックスキャッター通信の実現:アンビエントバックスキャッター通信は受信電波にゆらぎを生じさせることで通信を行うため、建物内の障害物により電波伝搬の状況が異なり、十分にバックスキャッター通信が行えない領域や十分な距離の通信ができない領域が生じる可能性が高い。そこで、電波伝搬シミュレーション機構などを用いて、建物内のバックスキャッター通信状況を再現し、その性能改善の仕組みを考案した。 (d)Wi-Fi電波の乱れを併用した行動認識技術の創出:人やモノの移動で生じるWiFi電波の乱れとバッテリレスの加速度センサなどから得られる低サンプリングレートでのセンシング情報をもとに、人の行動認識を行えるような仕組みを開発するための基礎技術を検討した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、アンビエントバックスキャッター通信を用いてバッテリレスセンシングシステムを開発することを目的に、当初の2年間でアンビエントバックスキャッター通信機能の性能改善やその機能を小型IoT機器として実装するための基礎研究に取り組んだ。 そこで後半の2年間は、アンビエントバックスキャッター通信を用いてバッテリレスセンシングシステムを実際に開発することを目的に、アンビエントバックスキャッター通信機能をさまざまな小型IoT機器に実装することに取り組んでいきたい。さらに、アンビエントバックスキャッター通信に基づき、WiFi通信プロトコルなどを用いてインターネットとの接続を行えるような仕組みを考案し、実際にLiveTagやPrinted Wi-Fiなどのバッテリレスセンシングシステムを構築し、その性能評価や性能の改善策の考案に取り組んでいきたい。また、既存のWiFi通信との併用を考慮した通信方式などについても検討する予定である。 提案研究では、周波数シフトを利用して歩行の際の歩数を計測するアンビエントバックスキャッター通信ベースのセンサや、ドアの開閉を検知するセンサなどバッテリレスIoTデバイスを幾つか試作し、実環境での性能評価を行うことを計画している。また、WiFi電波などのチャネル状態情報(Channel State Information, CSI)を用いて、人やモノの位置推定や行動認識がどの程度可能になるのかなどに関して、基礎的な実験を行っていきたい。
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