研究課題/領域番号 |
20K20398
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研究機関 | 京都橘大学 |
研究代表者 |
東野 輝夫 京都橘大学, 工学部, 教授 (80173144)
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研究分担者 |
猿渡 俊介 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (50507811)
内山 彰 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (70555234)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | バックスキャッター通信 / IoTデバイス / エナジーハーベスト / センシングシステム / 行動認識 / WiFi電波 / バッテリレスセンシング / チャネル状態情報 |
研究実績の概要 |
一般にIoTデバイスでは、センシング、プロセス、通信の3つの処理に電力を消費するが、通信に要する電力消費が非常に大きく、IoTデバイスのインターネット接続のキーとなる技術は超低消費電力の通信方式の普及である。近年TVやWiFiなど環境に存在する電波を利用して消費電力が従来の10,000分の1程度(数十μW)に低減可能なアンビエントバックスキャッター通信と呼ばれる無線通信技術が開発されつつある。 本研究では、この技術を用いてバッテリレスセンシングシステムを開発することを目的に、今年度は(a)バックスキャッター通信の性能向上とバッテリレスIoTデバイスの開発、(b)複数のバッテリレスデバイスを協調させたセンシング機構の考案、(c)建物内などでのバックスキャッターセンシング機構の構築、(d)Wi-Fi電波の乱れを併用した行動認識技術の創出、を実施した。具体的には、バックスキャッタータグ毎に異なる周波数シフトを行えるような仕組みを構築することで、複数のバックスキャッタータグを並列的に配置して、同時にセンシングを行えるような仕組みを構築することで、バックスキャッター通信の反射波の混信を防ぎ、複数のバックスキャッタータグを協調させたセンシング機構を構築できるようになった。また、バックスキャッタータグの小型化にも取り組み、建物内などで様々な人やモノの存在や状態変化をセンシングできるような仕組みを構築するとともに、WiFi電波などのチャネル状態情報(Channel State Information, CSI)を併用したセンシング機構の実装についても、一定の目処がついた。 なお、数十個の小型バックスキャッタータグを用いた実証実験を今年度後半に計画していたが、半導体の手配の目処が付かなかったので、そのためのタグの開発と実証実験は来年度に延長して実施することにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた(a)バックスキャッター通信の性能向上とバッテリレスIoTデバイスの開発、(b)複数のバッテリレスデバイスを協調させたセンシング機構の考案、(c)建物内などでのバックスキャッターセンシング機構の構築、(d)Wi-Fi電波の乱れを併用した行動認識技術の創出、については、一定の成果をを上げることが出来たので、研究としては、概ね順調に進展したと考えられる。 なお、近年の半導体不足で数十個の小型バックスキャッタータグを今年度中に作ることが出来なかったので、それらの半導体の発注と小型バックスキャッタータグの製作、製作した小型バックスキャッタータグ群を用いた実証実験は来年度に延長して実施することにした。
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今後の研究の推進方策 |
近年の半導体不足で、当初予定していた数十個の小型バックスキャッタータグを用いた実証実験が実施出来なかったので、来年度にそれらを製作し、製作したバックスキャッタータグ群を用いた高精度な人やモノの行動認識技術の創出を行っていくことを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
多数のバックスキャッタータグを並列的に配置して、バックスキャッタータグ毎に異なる周波数シフトを実現し、複数のバックスキャッタータグを用いて同時にセンシングを行えるような仕組みを構築し、建物内などで様々な人やモノの存在や状態変化をセンシングできるような仕組みを構築し、実証実験を行うことを計画していた。しかし、近年の半導体不足で、製作を予定していた半導体の手配の目処が付かなかったので、そのためのタグの開発と実証実験は次年度に延長して実施することにした。
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