研究課題/領域番号 |
18H05397
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
佐藤 浩太郎 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (70377810)
|
研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
|
キーワード | 高分子合成 / 高分子環境材料 / 植物由来バイオマス / 糖ケミカルコンバージョン / 二酸化炭素固定化 |
研究実績の概要 |
本研究では、天然の糖類の発酵や分解で豊富に得られるバイオマス資源に着目し、化学変換反応(ケミカルコンバージョン)により高分子原料であるビニル単量体構造(ビニルモノマー)へと誘導することで革新的機能性高分子材料群を創出することを目的とした。とくに、水溶性や耐熱性、光学活性など従来の石油化学品では入手困難な骨格をもつ天然由来物質に対して、有機合成や高分子合成(重合)反応で培ってきた技術を適応することで、汎用性のものから機能性のものまで、実用性の高い機能性高分子環境材料の創出を目指した。 本年度は以下の点に注力して研究を行った。 1)グリセロール由来の種々の機能性高分子材料開発と二酸化炭素固定化 グリセロール(グリセリン)は、多糖類である澱粉の酵母発酵に加えて、脂質の鹸化によっても得られる豊富で安価な再生可能バイオマス資源である。本研究では、グリセロールを原料としてケミカルコンバージョンによりビニルモノマー化・重合反応により高分子とすることを検討した。具体的には、まず、環状カーボネート化もしくは環状アセタール化を行い、脱水反応を経て対応するビニルカーボネートおよびビニルエーテル誘導体への変換を検討した。ここで、対応する石油由来化合物の重合反応性から、ビニルエーテルはカチオン重合により、ビニルカーボネートはラジカル重合によりそれぞれ主鎖にグリセロール由来の骨格をもつ高分子となることが明らかになった。 2)フルフラールのケミカルコンバージョンと高耐熱性高分子材料開発 5糖類の脱水分解や木材や農業廃棄物などから生産可能なフルフラールは、非可食バイオマス資源として近年注目されている。フルフラールの水素添加反応によって生じるテトラヒドロフルフリルアルコールを用い、上述のグリセロールと同様の脱水反応となるケミカルコンバージョンによりビニルエーテル骨格を有するモノマーへの誘導を予備検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
原料のグリセロールの化学変換によるモノマー合成実験の過程で、反応性が予想以上に低く、高い収率でモノマーを得ることが想定以上に困難なことが判明した。研究遂行上、高収率でモノマーを合成できる条件設定が必要なため、使用する試薬など反応経路の設定を再検討した上で、再度合成実験を行うことで、予備検討結果をまとめることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究では、天然の糖類の発酵や分解で豊富に得られるバイオマス資源に着目し、化学変換反応(ケミカルコンバージョン)により高分子原料であるビニル単量体構造(ビニルモノマー)へと誘導することで革新的機能性高分子材料群を創出することを目的としている。従来の石油化学品では入手困難な骨格をもつ天然由来物質に対して、有機合成や高分子合成反応で培ってきた技術を適応し、とくに、農業廃棄物など非可食のものから生産可能なグリセロールやフルフラールなどから実用性の高い機能性高分子環境材料を創生できることを明らかにする。
|