研究課題/領域番号 |
18H05399
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
岡村 昌宏 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 客員研究員 (80332245)
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研究分担者 |
高橋 一匡 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (10707475)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | BNCT / 中性子 / 加速器 / RFQ / レーザーイオン源 |
研究実績の概要 |
BNCTへの応用を目指して、不要な放射線発生を限りなく抑制できる中性子発生ドライバーとして使用できる、高強度リチウムビーム加速に関する研究を開始した。通常の加速器駆動中性子発生源としては陽子ビームが用いられるが、これに対して本研究では効率良くリチウム3価ビームを発生しドライバーとする事を目指している。これによって、発生する中性子は前方に集中的に供給されるため、閾値付近での反応を利用できることになり、不要な放射線を発生することがない。 2018年度はレーザーを照射してリチウムイオンを生成する方法を確立する事を目的とした。長岡技術科学大学にレーザー照射装置、及びプラズマ診断装置を開発設置し、レーザーイオン源部分の開発を中心に行った。リチウムの3価を発生するためには高パワー密度でレーザーをリチウムターゲットに照射する必要がある。その際に生じるターゲットの損傷により再現性の良いレーザーアブレーションプラズマの形成が課題となった。そこで、1ショット毎にレーザー照射位置を変更するため, ターゲットを2次元的に移動可能な機構を有するレーザーアブレーションプラズマ形成システムを構築し, また, 連続的なレーザー照射下でチャンバー内の真空度を維持するための真空排気能力増強を行った。これらにより, 高パワー密度レーザー照射による再現性の良いアブレーションプラズマの連続的な形成が可能となった。 2019年度は、レーザーの照射条件の開発に加えて、ターゲット素材の探索を行った。この研究成果は国際会議での発表に加えて誌上発表された。更に、理化学研究所では前年度から設計研究を行ってきた高周波四重極線形加速器の専用電極が完成し、個体リチウムターゲットを用いて、リチウムビームの発生及び加速試験をおこなった。学術発表はまだ行っていないがすでに世界最高強度のビーム加速に成功することができている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
長岡技術科学大学でのレーザーイオン源部分の開発は順調に推移し、レーザーの照射条件の研究に加えて、ターゲット素材の探索(Li, LiOH, and LiNbO3)、更に新たなターゲット駆動システムの概念設計にまで研究対象を広げることができた。研究開始から2年間で装置の開発し、学術誌に成果を発表する段階に至っている。これに加えて、本研究グループのアクティビティが国際的に認知され、チェコ国立原子物理研究所から2名が、中国浙江大学から一名が研究に参加することとなった。 理化学研究所では、リチウム3価ビームを高効率で加速する高周波四重極線形加速器の開発を行った。2年目にして入射電流値50mAに対応した加速電極を製作し加速器空洞に実装することができた。また、個体リチウムの装填方法についても研究開発が順調に推移しリチウムビームの加速試験に成功した。残念ながら年度末の新型コロナウイルスの影響で試験を中断することになった為、詳細な実験データの解析には至っていないが、現時点でピーク電流値は40mAを超えるビームが確認されており、極めて順調に研究が進展したと言える。
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今後の研究の推進方策 |
2020年6月現在では、依然として新型コロナウイルスの影響で実験研究の再開に至っていない。本研究は日本国内2箇所に加えて、アメリカ、チェコ、中国の研究者の協力を得て推進してきたこともあり、移動を大きく制限されている現状では、集中的な大規模実験を行うことは難しい状況である。本年度の前半は概念設計とシミュレーションに研究のリソースを充てることになる。具体的には、大気に開放することなくリチウムターゲットを交換できる装置設計、中性子ターゲットのシミュレーション、加速エネルギーを低い値に設定した高周波四重極線形加速器用の電極の設計等である。 研究者の国際的な移動が可能となるのを待って、リチウムイオンビームの加速試験を再開する。昨年度は、加速器出口に設置したファラデーカップで加速ビームの電流測定を行った。しかし、ファラデーカップが加速器直後に設置されているため、加速ビームに含まれていると想定される酸素ビームなどの割合を測定するに至っていない。本年度はこの問題を解決し、研究成果を学術誌に発表する予定である。 年度末には国際ワークショップを長岡技術科学大学で開催する予定で準備して来たが、新型コロナウイルスの影響がどの程度長引くのかが不透明であるため、代替案を検討したい。
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