研究課題/領域番号 |
20K20419
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
成 元哲 中京大学, 現代社会学部, 教授 (20319221)
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研究分担者 |
牛島 佳代 愛知県立大学, 看護学部, 准教授 (10336191)
川野 英二 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 教授 (20335334)
清水 洋行 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (50282786)
木田 勇輔 椙山女学園大学, 文化情報学部, 准教授 (70760734)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ソシアビリテ / 子ども食堂 / 助け合いの精神 / 社会的疑集性 / 活動的市民 / 市民社会組織 / 組織間ネットワーク / サンクスカード |
研究実績の概要 |
本研究は名古屋都市圏を対象に、何が子ども食堂の急増をもたらしたのか、誰がどのようなつながりでそれを支えているのかを明らかにする。名古屋都市圏は経済的に豊かな地域であり、伝統的な地域コミュニティが強く、人口当たりのNPO団体数は全国の最下位にある。こうした地域特性が子ども食堂の数やその活動の活発さ、形態とはどのような関連があるのか、東京都市圏、大阪都市圏との比較のうえ、検証する必要がある。 2021年度は、愛知県内の約20か所の子ども食堂へのオンラインインタビューと参与観察による資料収集と、それに基づくデータベース化とエピソード分析を行った。コロナ禍の影響により、子ども食堂は一堂に会して食する形態から、企業や家庭で余った食材を集めて困窮世帯に配るフードパントリー(食材配布)に移行し、活動を続けている。しかし、フードパントリーは三密を避けるために編み出された活動のレパートリーだが、結果的に「居場所なきフードパントリー」とは言い得て妙である。コロナ禍後、フードパントリーは一種の文化的ラチェット(歯止め)となり、後戻りせず、活動のレパートリーとして定着するのか。それとも、コロナ前の会食型の子ども食堂に回帰するのか、あるいは、コロナ禍を期に、分岐し、様々な形のハイブリッド(混合)を生み出ていくのか。こういった子ども食堂という場=活動のあり方を決めるのは何か。人々の居場所を守っていくにはどうすればよいのか。こういった問いに応えるべく、子ども食堂の現場の関係者にオンラインによる深層インタビューとSNS(FB、ブログなど)、チラシといったデータ収集を行い、データベース化した。そして、その意味を言語化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は、子ども食堂を対象にしたオンラインインタビューと参与観察による資料収集と、それに基づくデータベース化とエピソード分析は遂行できたが、コロナ渦の影響により、子ども食堂の誕生とその存立をもたらす市民社会インフラ(civic infrastructure)あるいは地域資源(neighborhood resources)の分布を調べるための大規模調査、すなわち、名古屋都市圏全体を対象とした調査票調査を実施できなかったため、たくさんの予算を繰り越すこととなった。2021年度の研究成果は、既に社会調査報告書としてまとめ、回答をした子ども食堂のほか、官公庁、社協の担当部署などに送付した。この調査結果を広く共有するため、ホームページ(https://warera-kodomo.jimdofree.com/、https://nagoya-city-research.jimdofree.com/)上に公開した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、コロナ禍であったも研究を遂行すべく準備を進めている。子ども食堂へのイメージ調査(全国:WEB調査)と名古屋都市圏全体を対象とした調査票調査(居場所と生活満足度に関する調査)である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症の拡大により、不特定多数を対象とした大規模調査が実施できなかったため
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備考 |
「われらこどもプロジェクト」は愛知県内の子ども食堂へのボランティア活動を通じての記録を残す作業を行うサイトである。また、「名古屋都市圏研究会」は名古屋都市圏の市民社会的組織、社会的つながりに関する体系的なサーベイによる社会地図的作成を試みるサイトである
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