子ども食堂は2012年に誕生してから10年ほどで全国に7000か所以上まで広がった。子ども食堂が普及したのはなぜか。また子ども食堂の強みはどこにあるのか。名古屋市内の子ども食堂への参与観察と全国1万人対象の「子ども食堂意識調査」から次の2点を明らかにした。子ども食堂は月に1回程度の開催が約半数を占めるが、その子ども食堂が貧困対策として機能したからではなく、普段つながることのなかった人や組織や機関が子ども食堂によってつながったという予想外の収穫によるものである。そして、子ども食堂の強みは間口の広さやゆるさにあり、それが既存の企業や行政のセーフティネットからこぼれる社会層を救い上げたことにある。
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