地震被災建物の非構造材の動作計測と画像解析に基づく即時応急危険度判定技術の構築

2022 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 20K20435
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 長江 拓也 名古屋大学, 減災連携研究センター, 准教授 (90402932)
• 研究分担者: 梶原 浩一 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 地震減災実験研究部門, 主幹研究員 (10450256) ; 岡崎 太一郎 北海道大学, 工学研究院, 教授 (20414964) ; 松宮 智央 近畿大学, 建築学部, 准教授 (20454639) ; 高橋 典之 東北大学, 工学研究科, 准教授 (60401270) ; 藤原 淳 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 地震減災実験研究部門, 主幹研究員 (80817049) ; 岸田 明子 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 地震減災実験研究部門, 主幹研究員 (10599468)
• 研究期間 (年度): 2020-04-01 – 2023-03-31
• キーワード: 非構造材 / センシング / 二次部材 / 鋼構造骨組 / 震動台実験 / カーテンウォール / ALC壁 / 設備機器

研究実績の概要

本提案では，即時応急危険度判定として，地震被災建物の非構造材の動作に関する計測値分析と，屋内外のビデオ映像に基づく外観損傷や部材変形の画像解析を統合し，構造体の安全性はもとより建物機能の健全性を判定する方法を開発することを目標としている。さらに，判定結果を速やかに周囲に伝達することで，人間避難行動を適切に誘導する判定情報伝達技術の開発までを射程とする。判定基準整備の一環として，確率論的性能評価の適用性についても検討を重ねた。
具体的には，産官学の連携体制を組み，国際共同研究を並走させた。台湾國立成功大学・國家地震工程研究中心との共同研究では，振動台に試験用骨組を設置し，カーテンウォールに設置したGyroセンサーのデータ積分により層間変形角を評価する手法を検証した。2019年実施の実大3層木造住宅実験では，住宅用シャッター内にGyroセンサーとLED発光システムを敷設し，連動させるシステム設計を検証した。文化シャッター施設において，この検証を継続した。台湾國立成功大学・國家地震工程研究中心との共同研究では，ALC壁へのGyroセンサーの適用性を確認した。韓国の釜山大学実験施設SESTECでは吊り配管の応答特性を検証した。不二サッシ施設では，実物3層のカーテンウォールの応答特性を敷設床の動的制御実験によって検証し，変形分布をGyroセンサーで高密度に計測し，シミュレーション技術に取り組んだ。2019年と2020年は防災科学技術研究所の大型耐震実験施設において，2層ユニットハウスを利用して，Gyroセンシング・LEDアラートシステムの検証を継続した。2021年も同施設で，破壊が進行する骨組に敷設したカーテンウォールの応答特性を検証した。2022年2月にはＥ－ディフェンスにおける実大10層オフィスの震動台実験において，各種の非構造材を含む建物全体を総合検証し，提案技術の有効性を実証した。

研究成果

• [国際共同研究] 台湾國家地震工程研究中心 (NCREE)/台湾國立成功大学(その他の国・地域)
  • 国名: その他の国・地域
  • 外国機関名: 台湾國家地震工程研究中心 (NCREE)/台湾國立成功大学
• [国際共同研究] 釜山大学/ソウル技術研究院(韓国)
  • 国名: 韓国
  • 外国機関名: 釜山大学/ソウル技術研究院
• [国際共同研究] イルディス工科大学(トルコ)
  • 国名: トルコ
  • 外国機関名: イルディス工科大学
• [国際共同研究] スイス工科大学ローザンヌ(スイス)
  • 国名: スイス
  • 外国機関名: スイス工科大学ローザンヌ
• [国際共同研究] ユタ大学/カリフォルニア大学アーバイン/カリフォルニア大学デービス(米国)
  • 国名: 米国
  • 外国機関名: ユタ大学/カリフォルニア大学アーバイン/カリフォルニア大学デービス
• [国際共同研究]
  • 他の国数: 2
• [雑誌論文] Full-Scale Shake Table Test Damage Data Collection Using Terrestrial Laser-Scanning Techniques (2022)
  • 著者名/発表者名: Mohammad Aghababaei, Christian Okamoto, Maria Koliou, Takuya Nagae, Chris P. Pantelides, Keri L. Ryan, Andre R. Barbosa, Shiling Pei, John W. van de Lindt, Shideh Dashti
  • 雑誌名: Journal of Structural Engineering 巻: 147-3 ページ: -
  • DOI: 10.1061/(ASCE)ST.1943-541X.0002905.
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] Full-scale shake table tests of P&B type of Japanese three-story wood dwellings for the collapse characterization (2022)
  • 著者名/発表者名: Cem Yenidogan, Ryota Nishi, Seiya Uwadan, Takuya Nagae, Hiroshi Isoda, Takahiro Tsuchimoto, Takahiro Inoue, Koichi Kajiwara
  • 雑誌名: Soil Dynamics and Earthquake Engineering 巻: 150 ページ: -
  • DOI: 10.1016/j.soildyn.2021.106898
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [学会発表] 包括的耐震性能評価実験 その15 カーテンウォール試験体の概要 (2023)
  • 著者名/発表者名: 斉藤功男, 神崎喜和, 齋藤直佳, 長江拓也, 高谷和樹, 鈴木里佳子, 梶原浩一, 藤原淳, 岸田 明子, 荒井智治, 西崚汰
  • 学会等名: 2023年度日本建築学会大会梗概集
• [学会発表] 包括的耐震性能評価実験 その16 カーテンウォール計測計画と実験結果概要 (2023)
  • 著者名/発表者名: 齋藤直佳, 神崎喜和, 斉藤功男, 長江拓也, 高谷和樹, 鈴木里佳子, 梶原浩一, 藤原淳, 岸田 明子, 荒井智治, 西崚汰
  • 学会等名: 2023年度日本建築学会大会梗概集
• [学会発表] 包括的耐震性能評価実験 その18 等価１自由度縮約系による数値解析と実験 (2023)
  • 著者名/発表者名: 高谷和樹, 長江拓也, 金家良, 浅井竜也, 梶原浩一, 藤原淳, 岸田明子, 西崚汰
  • 学会等名: 2023年度日本建築学会大会梗概集
• [学会発表] 包括的耐震性能評価実験 その19 等価減衰定数の評価方法の検討 (2023)
  • 著者名/発表者名: 重田永生, 長江拓也, 浅井竜也, 高谷和樹, 梶原浩一, 藤原淳, 岸田明子, 荒井智治, 西崚汰
  • 学会等名: 2023年度日本建築学会大会梗概集
• [学会発表] Comprehensive seismic performance assessment testing Part 20 ESDOF system estimation for 10-story steel and RC test structures (2023)
  • 著者名/発表者名: GAO Yanzhou, NAGAE Takuya, JIN Jialiang, TAKAYA Kazuki, ASAI Tatsuya, KANG Jae-Do, FUJIWARA Jun, KISHIDA Akiko, NISHI Ryota, KAJIWARA Koichi
  • 学会等名: 2023年度日本建築学会大会梗概集
• [学会発表] 包括的耐震性能評価実験 その21 カーテンウォール内蔵型センサー・アラートシステムにおけるジャイロセンサーを用いた加速度評価 (2023)
  • 著者名/発表者名: 鈴木里佳子, 高谷和樹, 浅井竜也, 長江拓也, 神崎 喜和, 日高和幸, 梶原浩一, 藤原淳, 岸田明子, 荒井智治, 西崚汰, 齋藤直佳, 斉藤功男
  • 学会等名: 2023年度日本建築学会大会梗概集
• [学会発表] Comprehensive seismic performance assessment testing Part 22: Experimental response of internal panel zones, beams and columns (2023)
  • 著者名/発表者名: LI Jionghui, JIN Jialiang, OKAZAKI Taichiro, NAGAE Takuya, FUJIWARA Jun, NISHI Ryota
  • 学会等名: 2023年度日本建築学会大会梗概集
• [学会発表] Comprehensive seismic performance assessment testing Part 23 Seismic performance of buckling-restrained braces in 10-story steel test specimen (2023)
  • 著者名/発表者名: JIN Jialiang, LI Jionghui, NAGAE Takuya, OKAZAKI Taichiro, ASAI Tatsuya, FUJIWARA Jun, KISHIDA Akiko, NISHI Ryota, KAJIWARA Koichi
  • 学会等名: 2023年度日本建築学会大会梗概集
• [学会発表] Comprehensive seismic performance assessment testing Part 24 Strain measurement of structures using fiber optic strain sensors (2023)
  • 著者名/発表者名: YAN Tianhao, ASAI Tatsuya, NAGAE Takuya, FUJIWARA Jun, KISHIDA Akiko, NISHI Ryota, KAJIWARA Koichi
  • 学会等名: 2023年度日本建築学会大会梗概集
• [学会発表] Data reduction for the 2023 E-Defense shaking table test on 10-story steel frame structure Part 1: Instrumentation scheme and experimental result of beams, panel zones and columns (2023)
  • 著者名/発表者名: LI Jionghui, JIN Jialiang, OKAZAKI Taichiro, NAGAE Takuya, FUJIWARA Jun, KISHIDA Akiko, KAJIWARA Koichi, NISHI Ryota
  • 学会等名: 2023年度日本建築学会北海道支部研究発表会
• [学会発表] E-Defense Shaking Table Tests on a Full-Scaled 10-Story Steel Frame with Buckling-Restrained Braces Part 2: Seismic Response of Test Specimen and Buckling-Restrained Braces (2023)
  • 著者名/発表者名: JIN Jialiang, LI Jionghui, NAGAE Takuya, OKAZAKI Taichiro, ASAI Tatsuya, FUJIWARA Jun, KISHIDA Akiko, NISHI Ryota, KAJIWARA Koichi
  • 学会等名: 2023年度日本建築学会北海道支部研究発表会
• [学会発表] カーテンウォ―ル内蔵型センサ・アラートシステムに向けた2023年E－ディフェンス実験分析 (2023)
  • 著者名/発表者名: 鈴木 里佳子, 高谷 和樹, 浅井 竜也, 長江 拓也, 神崎 喜和, 齋藤 直佳, 斉藤 功男, 梶原 浩一, 藤原 淳, 岸田 明子, 荒井 智治, 西 崚太
  • 学会等名: 2023年度日本建築学会北海道支部研究発表会
• [備考] 国際的活動 名古屋大学 建築学コース「建物の耐震終局性能評価および二次部材・設備含む修復コスト評価」
  • URL: https://hp.nuac.nagoya-u.ac.jp/global/Research/research_A07.html