研究課題/領域番号 |
20K20436
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
安福 勝 近畿大学, 建築学部, 准教授 (20581739)
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研究分担者 |
伊庭 千恵美 京都大学, 工学研究科, 准教授 (10462342)
麓 隆行 近畿大学, 理工学部, 教授 (30315981)
脇谷 草一郎 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 室長 (80416411)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ポロメカニクス / 凍結融解 / 凝固点降下 / 凍害 / 有限要素法 / X線CT / 画像相関法 / ひずみ |
研究実績の概要 |
本研究では、凍結融解や乾湿の繰り返しなどにより劣化する多孔質な建築材料(凝灰岩・砂岩・レンガなど)の耐久性を予測・評価するため、材料内部の熱&水分移動解析と応力・歪の解析を連成した数値解析を行っている。これにより、これまで温度や含水率の変化などでしか表現されてこなかった多孔質材料の耐久性予測・評価方法を、材料内部の応力と材料の強度(圧縮・引張強度など)というより明確な物理量をもって評価することが可能な、さらに高度なものに発展させることが可能になると考えられる。 まず、多孔質材料内部の物理現象を扱う数値解析においては、2020年度までに開発した有限要素解析コードをさらに発展させて、凍結融解過程を解析するモデルを組み込んだ。現時点では、凍結融解の実現象を十分に再現できているモデルを組み込めているわけではないので、今後より精緻なモデルを検討し、また解析コードに実装する必要がある。また、汎用有限要素モデリングソフトウエア(プレ・ポストプロセッサー)と、開発した有限要素解析コードを連携させるための補助的ツールの完成度を高める作業を行った。 実験室実験においては、2019年度と2020年度にX線CTと画像相関法を用いたひずみの分布測定を実施したが、本年度は画像相関の精度向上を目的としたCT画像の前処理方法に関する検討を行った。また、塩類風化に関連して、材料内部に存在する塩の結晶の分布を可視化する方法を検討し、研究計画書で予定していた内容以上の成果も得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書に書かれた内容をほぼすべて行うことができた。凍結融解過程を解析するモデルをより優れたものにする必要があるという課題が残されている。
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今後の研究の推進方策 |
凍結融解過程を解析するモデルをより優れたものにする必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ過の影響で研究活動(特に実験と調査)が制限されたため。また、2022年1月に研究代表者がコロナウイルスに感染し、3カ月に及ぶ療養が必要になったため。今後、コロナ過の状況を見ながら研究活動を実施する。 研究費は、学会等での研究発表会参加費・旅費、研究対象となる建物等の調査旅費、実験室実験のための物品費、および解析ツールの更なる性能向上のためのソフトウエア開発費用として使用する。
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