研究課題
【最終年度研究実績】 昨年度に引き続き、台風直下や北極海における海氷下の波浪など、波浪海洋混合が重要となる状況において波浪・海洋結合観測を行うことを目指して研究を遂行している。IoT技術の発達に伴い低価格・高精度化が目覚ましい慣性計測装置(IMU)を用いた波浪計測は、氷上設置型の波浪計を念頭に海外でも開発が進められており、情報収集ならびに情報交換を進めながら行った。そして、2022年度海洋地球研究船「みらい」北極航海の往路にて開発した2基の波浪ブイの展開を2022年8月に行い、台風8号によって引き起こされた波浪場の計測に成功した。2基のうち1基は高波高中の計測が途切れていたが、その後通信を再開したため、浸水等のトラブルではなく、別の原因と考えられる。その後、波浪計測デバイスの製作方法に改善を施し、機器の品質の均一化に勤めた上で2023年2月にオホーツク海の海氷上に4基、氷上設置型として展開し、データ計測成功率が改善したことを確認した。一方、台風下の大気海洋波浪相互作用について、シミュレーションにより飛沫による熱輸送が重要な役割を果たすことも示され、波浪が台風そのものの成長に寄与することが分かってきた。【研究機関全体を通じて実施した研究の成果】 本研究の当初の目的は、強風下での波浪と海水温の同時計測であり、全球を網羅する既存の観測網を使った広域展開であった。しかしながら、既存のシステムは完成度が高いほど付随する計測を追加することは難しい。その一方で、急速にマイコンとセンサーの低価格化と性能向上が進展した。そこで、大きく研究の方針を変え、低消費電力の波浪センサーおよびブイの開発を行った。それらは強風下だけでなく氷海での使用を念頭に頑健なシステムの構築を目指した。一定の成果があり、関連するプロジェクトでの観測航海機会を利用し、合計40基程度展開することができた。
すべて 2023 2022 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 11件)
Polar Research
巻: - ページ: -
Frontiers in Marine Science
巻: 10 ページ: -
10.3389/fmars.2023.1133149
Marine Structures
巻: 89 ページ: 103370~103370
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Scientific Data
10.1038/s41597-023-02160-9
Philosophical Transactions of the Royal Society A: Mathematical, Physical and Engineering Sciences
巻: 380 ページ: -
10.1098/rsta.2021.0256