研究課題/領域番号 |
19H05515
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
鶴見 敬章 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (70188647)
|
研究分担者 |
武田 博明 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (00324971)
保科 拓也 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (80509399)
|
研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
|
キーワード | キャパシタ / 蓄電素子 / エネルギー密度 |
研究実績の概要 |
二酸化炭素排出量を抑制し地球温暖化をストップするには、エネルギー密度の高い蓄電装置がキーテクノロジーとなる。現在ある蓄電装置で最もエネルギー密度が高いのはリチウムイオン電池であるが、本研究では安全性が高く繰り返し充放電で劣化しないキャパシタを用いて新しい蓄電装置を作ることを目的としている。 本キャパシタはリチウムイオンの長距離移動により分極を発生する。積層キャパシタとするため電荷質は固体であることが必要である。リチウムイオン伝導体として酸化物系リチウムガラスを選択し、充放電特性を測定したところキャパシタとして機能していることが分かった。本キャパシタがリチウム電池と匹敵するエネルギー密度を得るためには、高電圧駆動が必須である。100Vまでの充放電を行ったが、ガラス中に水分があると電気分解が起きて充放電電圧が著しく低下すること、水分を除去してもリチウムの酸化還元平衡電位よりも高い電圧をかけると徐々にリチウムが系外に出て充放電特性が劣化することが分かった。そこで電極界面にリチウムイオンの拡散係数を低下させる保護層を挿入するアイデアを出した。これにより、キャパシターは寿命を持つが高電圧での充放電が可能になる。本キャパシタは電解質を薄層化して積層構造を作る必要がある。完全禁水系なのでドライプロセスによりこの積層構造を作るプロセスを考案した。また、高電圧での充放電特性を評価するシステムの設計を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本キャパシタが意味のあるデバイスになるためには高電圧駆動が必須である。キャパシタのエネルギー密度は電圧の2乗に比例するので、現在の液体系電解質の電圧5Vを100Vにできれば、理論的にはエネルギー密度は400倍向上する。しかし、単に液体を固体に変えただけではリチウムの系外への析出は避けられず高電圧駆動は不可能である。本年度はそのことを確認することともに、保護層を電極解明に挿入するという新しいアイデアで解決の可能性を見出した。これは本研究の成否を左右する極めて重要なアイデアである。また、ガラス中の水分は極限まで低下させなければならないこともわかったので、それを可能すいる禁水系での材料合成設備を構築する計画が立てられた。特性評価についても、定電流法で高電圧の充放電特性を測定するシステムの設計を行った。研究実施の方針は具体的に定まったので、初年度としてはおおもね順調に進展していると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
研究室内に開発プロジェクトチームを作った。このチームは1)材料開発、2)デバイス開発、3)特性評価の3つのグループから構成される。材料開発チームでは保護層の有効性を検証することを最優先にする。有効性が確認されたら、保護層としての最適材料の選定とリチウム伝導ガラスの組成探索を行う。デバイス開発チームは、積層キャパシタの開発を行う。禁水系においてリチウムガラスとカーボン被覆電極の一体焼結技術を開発する。特性評価チームでは、これまでの測定例がない高電圧での蓄電キャパシターの充放電特性を定電流法で測定するシステムを開発する。
|