研究課題/領域番号 |
19H05519
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
小坂 英男 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (20361199)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 量子情報 / 量子メモリ / 量子ストレージ / 量子コンピュータ / 量子ゲート / ダイヤモンド / NV中心 / 電子スピン |
研究実績の概要 |
光、超伝導、シリコン、冷却原子といった様々な量子系による万能量子コンピュータが研究されているが、集積された多数の量子ビットの個別制御が難しいという致命的な問題がある。本研究の目的は安定した量子状態を実現するダイヤモンドのNV中心をプラットフォームとし、レーザ光で各量子ビットにアクセスする手法により、この問題を根本的に解決することである。 ・光シフト制御万能ホロノミック量子ゲートの実施 光照射により補助準位を光シフトさせることでゼロ磁場分裂を変化させ、幾何学量子ビットのマイクロ波共鳴周波数を個別かつ動的に変化させることで、選択した量子ビットだけを共鳴的にホロノミック量子ゲート操作することに成功した。 ダイヤモンド中のスピンは大規模集な量子プロセッサや量子メモリとして最適である。しかしながら、集積化に不可欠な局所的かつ正確な操作を同時に実現することはこれまで難しかった。ところが、固体電子のスピン軌道相互作用を利用することで、局所的な交流電場で軌道選択し、大局的な交流磁場で正確にスピン操作できる。 今回我々は、レーザー光を用いた局所的な軌道のACシュタルクシフトを誘起し、これに共鳴するマイクロ波用いたスピンのホロノミック量子操作を行うことで、ダイヤモンドNV中心の電子スピンの局所的かつ正確な万能量子ゲートを実現した。量子ビット空間とは異なる補助空間で特定の軌道を選択し、マイクロ波強度や離調の変動に耐性のある幾何学的量子操作を導入することで、高い操作忠実度を実現した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた初年度の目標である「光シフトにより個別に周波数制御されたNV中心の単一量子ゲート操作を実現」を達成した。
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今後の研究の推進方策 |
・光アクセスによる個別書き込みと個別読み出し 窒素(14N)の核スピン(スピン1)を電子と同様の幾何学構造(V型構造)をもつ量子バッファとすることで、NVの個別書き込みと個別読み出しも可能となる。軌道励起状態にEx、Ey以外にも軌道とスピンが混成したA1、A2準位があり、各々別の目的で利用する。最初にA1準位に共鳴するレーザ光(A1初期化光)で全てのNV中心の電子スピンを補助準位(ms=0)に初期化しておく。NVの個別書き込みは、①Ex制御光で光シフトしたゼロ磁場分裂に共鳴するマイクロ波で選択したNVの電子だけを補助準位(ms=0)から幾何学量子ビット準位(ms=±1)に遷移、②A2準位に共鳴するレーザ光(A2書き込み光)を用いたCPT(コヒーレントポピュレーショントラップ)により幾何学量子ビットを所望の量子状態に設定、③マイクロ波およびラジオ波による磁気共鳴操作により電子スピンから窒素の核スピンへと状態転写、の順で行う。NVの個別読み出しは、①光シフトとマイクロ波共鳴で特定のNVだけを選択、②窒素の核スピンから電子スピンへと状態転写、③A2書き込み光を用いた発光により電子の状態を読み出し、の順で行う。この際、窒素を補助量子とした射影的シングルショット(量子非破壊)測定により、読み出し効率を100%近くにすることが可能である。
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