研究課題
これまで、結晶化を含む「階層的な自己集合体形成」に関する数多くの研究を行い、様々な機能材料の開拓に成功してきた。最近その過程で「Screw Dislocationが提供するトポロジカル欠陥」が「結晶の核形成と成長」を促すことを直接示す現象を発見した。本研究課題ではこの現象の理解と深化を行い「結晶学における新学理」の構築を試みている。我々が発見し、解明に成功した特異な結晶複合体の段階的結晶化機構を元に、系の一般化ならびにらせん転位に支配されたらせんパターン形成における不斉合成に挑戦した。その過程で、系の一般化については結晶の構成成分を変化させることで、類似の結晶成長様式を示す事例を複数見出すことに成功した。既報(JACS, 2021)の例ではらせんの形状・巻き方向などの情報取得のためには、結晶表面を原子間力顕微鏡によって観察する必要があったが、新たに見出したいくつかの系では光学顕微鏡によってらせんの巻き方向を簡便に決定できることを見出した。この系の発見によって、らせんの巻き方向制御(結晶形態レベルでの不斉合成)の系統的調査が可能になった。らせんパターンの右巻き左巻きの制御について、巻き方向に偏りを生じさせる光学活性なカルボン酸系添加剤を発見することに成功した。また、ある一組のエナンチオマーでは、右巻きと左巻きのらせんパターンの形成確率が逆転することも確認した。さらに、キラルなカルボン酸をガラス表面に固定するか否かがらせん巻き方向の偏りに大きく影響することを明らかにした。本研究成果はアキラルな構成成分からなる結晶材料の形態制御、とくにキラリティ制御に知見を与えるものである。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件、 招待講演 5件)
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