研究課題/領域番号 |
19H05540
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高須賀 明典 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (00392902)
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研究分担者 |
米田 道夫 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水研機構(廿日市), 主任研究員 (30450787)
入路 光雄 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水研機構(横浜), 研究員 (50732426)
亘 真吾 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水研機構(横浜), グループ長 (00416041)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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キーワード | 水産資源学 / 資源管理 / 加入研究 / 卵生産 / 密度効果 |
研究実績の概要 |
本研究では、野外データ解析・標本分析と飼育実験によって、小型浮魚類複数種を対象として、卵量・卵質に対する種内・種間密度効果を検証する。資源管理への適用のため、卵生産量に基づいた新しい資源管理基準の設定方法を検討し、資源管理リスク評価を行う。加入研究への適用のため、卵生産量に基づいた新しい生残指標値を検討し、その指標値と環境要因の関係から、既存研究の再検証を行う。即ち、(I) 野外データ解析・標本分析及び (II) 飼育実験の結果を統合して、(III) 資源管理・加入研究に適用する。2019年度は、以下の内容を実施した。 I. 野外データ解析・標本分析: マサバについて、卵生産量指標値を作成し、卵量 (卵数) に対する種内・種間密度効果を検証した上で、生活史における密度効果の判別を行った。マサバの卵生産では、マイワシ同様、強い種内密度効果があることが明らかになった。一方、マサバの孵化~加入過程では、環境に支配されるマイワシとは異なり、環境と密度効果の両方の影響が検出された。 II. 飼育実験: 卵量 (卵数) と卵質 (卵サイズ) に対する種内・種間密度効果の検証に向けて、まず親魚年齢や環境要因の影響を調べる飼育実験系を準備し、導入された種から順に実験を開始した。野外標本の卵サイズ測定値の取り扱いを吟味するため、飼育実験採取の卵を用いて、卵サイズに対するホルマリン固定の影響を調べた。 III. 資源管理・加入研究への適用: データベース作成に向けて、複数の小型浮魚類の卵生産量の指標値及び孵化~加入過程の生残の指標値を検討した。卵生産量推定が可能な魚種のデータを基に、卵の生残率等の情報不足で卵生産量推定が不可能な魚種においては卵密度のみから算出した指標値が利用可能なことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
野外データ解析・標本分析では、マサバの卵生産及び孵化~加入過程における密度効果を明らかにし、原著論文にまとめた。飼育実験では、マイワシ、マサバ、ゴマサバの飼育実験系の準備が整備された。資源管理・加入研究への適用では、データベース作成に向けた指標値検討の検討が進んだ。新型コロナウイルス感染症の情勢により、年度末のワークショップや国際学会発表は中止となったが、研究の進捗自体に遅延は生じなかった。
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今後の研究の推進方策 |
野外データ解析・標本分析では、卵生産量の指標値の検討を進めつつ、卵質 (卵サイズ) に対する種内・種間密度効果の検証を開始する。飼育実験では、野外データ解析・標本分析の結果を検証するため、マサバを最優先して進める計画とした。資源管理・加入研究への適用では、資源管理方策と加入研究への適用を目指し、その枠組みの検討を開始する。代表者・分担者のオンライン検討会で共同作業を促進する。
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