磁力支持天秤により、回転する球に働くマグヌス力の測定に成功した。また、3Dプリンタにより、サッカーボールを製作し、その磁力支持にも成功した。さらに位置検出にハイスピードストリーミングカメラを用い、汎用機器による簡便な位置検出を検討した。以下、具体的に説明する。 球は、野球のボールやサッカーボール等、スポーツボールの基本形状である。模型に回転を与える場合、既存の6分力天秤等を利用しての測定では、よどみ点からみて、90°の位置に支柱が存在してしまう問題があった。無回転ボールならば、後方からの支持で、支柱が流れを乱す効果(支持干渉)を避けることは可能だが、回転球の場合には、支持干渉は避けようのない問題であった。今年度、支持干渉の無い磁力支持天秤を用い、回転する球に働くマグヌス力の測定に成功した。磁力支持された球の外周に圧縮空気を吹き付け、ボールに回転を与えた。この方法では、回転速度を大雑把にしか設定できない点に問題はある。しかし、無風時に様々な回転速度で磁力支持し、各回転速度に対応した背景値(無風時の出力)を多項式近似することで、問題解決できることが明らかになった。測定したマグヌス力は、過去に行われたThorstenらのそれとほぼ一致した。 また、直径60[mm]の縮尺サッカーボールを3Dプリンタで製作し、磁力支持に成功した。課題は、ボールの北半球と南半球の接続である。磁石をボールに内包するため、ボールを2分割せざるを得ない現状がある。 さらに、現在のレーザーを使った、やや専門的な位置検出方法を汎用のハイスピードストーリーミングカメラに置換する試みを行った。これは、磁力支持天秤の汎用化の先鞭の位置付けである。磁力支持天秤内でも汎用のハイスピードストリーミングカメラで位置検出が可能なことを確認した。
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