研究課題
本研究の目的は「仮想身体であっても,それを自分が主体となって運動させることに成功し,かつ運動感覚を知覚すると報酬系神経回路が賦活する」という仮説を明らかにすることである。本研究は,脳卒中などの中枢神経障害により感覚運動麻痺を呈する患者のリハビリテーション,あるいはスポーツなどで運動学習する過程において,ヒトが“報酬”を感じることの本質を科学的に理解するための挑戦的研究である。2022年度は以下の内容を実施した。①下肢切断者を対象に自身の義足に対する身体化に関する研究について,データ取得を完了し,統計解析に取り掛かっている。②2021年度に立案した自己身体運動-視覚刺激による運動錯覚が快情動に及ぼす影響についての研究のデータ取得を行い,健常者5名のデータを取得済みである。③自己身体映像に対する自己身体化が錯覚の強度に及ぼす影響を検証する研究を立案した。この研究では,自己身体映像に同期した触覚刺激入力により,自己身体映像に対する自己身体化を促進させた際の生理学的指標を取得した。データ取得をすでに開始しており,健常者10名のデータを取得済みである。下肢切断者を対象とした研究より,自己身体映像に対する自己身体化に関わる脳領域の検証,触覚刺激により自己身体化を促進させる手法の確立,さらに自己身体運動-視覚刺激による運動錯覚が快情動に及ぼす影響を検証した。これらの研究より,自己身体映像に対する自己身体化に関わる脳領域の同定でき,触覚刺激により自己身体化の促進および運動錯覚が増幅することを明らかにした。当該年度では,健常者を対象として,自己身体映像に対する自己身体化と運動錯覚が報酬系神経回路に及ぼす影響を検証し,今後は脳卒中患者にまで対象を広げる価値があると判断できる開拓研究を実施した。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (13件) (うちオープンアクセス 9件、 査読あり 5件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 1件、 招待講演 8件) 図書 (1件)
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