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2022 年度 実施状況報告書

エントロピーに基づき対象の構造的変化のスケール横断的説明を支援する階層型可視化

研究課題

研究課題/領域番号 20K20482
研究機関東京大学

研究代表者

大澤 幸生  東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (20273609)

研究分担者 早矢仕 晃章  東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (80806969)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード階層エントロピー / 系のダイナミクス / 変化の説明 / 感染拡大 / 金融市場 / 社会シミュレーション / 特徴概念(Feature Concepts) / Data Leaf
研究実績の概要

市場、都市、自然といった対象システムにおける注目すべき構造的変化を抽出し、その変 化の要因や影響を説明するための汎用的なデータ分析および可視化の基礎技術を構築する ことを目指している。具体的には、金融、リテールマーケティング、コロナ感染拡大抑制など用領域を深化させ広げつつ、データ利活用にかかわる知識を発展的に普及させるような社会的活動も含めて研究を展開している。
金融分野においては、グラフベースエントロピー(GBE)と大局的な領域間相互作用を組み合わせた変化説明を、株価の上下動のタイミングに応じて適用する方法を導入し、金融投資家が実際に応用できるツールとした。金融における実用ツール化については、事業者側の目的に併せて手法を展開する段階に至った。
マーケティングにおいては、新規商品の人気度が広まる過程や、政策への賛成または反対の集団が確定してゆく過程において、多階層の構造を持つエントロピーの変化の分析を利用すると社会スケールでの急速な変化が早期に検出可能であることについて発表を行ったが、特に、C to Cのオンライン物販サイトにおいて感性的表現が購買者に与える影響の分析に適用し、階層的エントロピーの効果を検証した。
さらに、文脈横断的な多階層ネットワークを構築し感染拡大のダイナミクスをシミュレーションする技術について、文脈横断を統合する手法へと展開し、コロナ感染のシミュレーション技術として定着させ、内閣官房などから成果が国民に向けて公開されている。さらに、多階層の「ユーザが見たい構造図」を描き、これにマッチした階層エントロピーの値をスケール横断的に組み合わせて用いる手法の開発を進め、社会連携講座「データ連成イノベーションリテラシー」の推進、データ社会推進協議会でのWG設立などアウトリーチ活動も進んだ。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

データの背景に潜むネットワーク構造について計算されるエントロピーとその変化過程を考えることによって、対象システム(社会、市場など)のダイナミクスを分析する技術のバリエーションを生み出してきた。
予定ではひとつの計算手法(アルゴリズム)を開発するイメージであったが、階層的エントロピーというコンセプトを複数のアルゴリズムとして展開し、各種の応用領域に適用可能とした点が進捗のポイントであるといえる。
また、後半にかかり、予定どおりのペースで実際のデータへの適用と、この結果を用いた可視化システムを各応用領域のエキスパートに評価してもらう実験も行ってきた。ここでは、データ利活用のための発想を得るワークショップを経て進めるのが当初の予定の大枠であったところ、①アルゴリズムの開発と改良とともに適用領域におけるイシューを検討するワークショップ ②「ユーザが見たい構造図」を描き、これにマッチした構造を有するデータの概要(Data Leaves)をはめ込むことによって、局所的な情報を含むデータと大局的なイシューを論理的に連結するプロセスを進めるワークショップ(FC/DL)の二種類を開発し、進めることができるようになった。
2022年4月からは、多様な観点からデータとその利活用指針、対象世界のモデルを「連成」させる考え方を提唱し、スケール横断的にデータを組み合わせて用いる手法の開発を進め、社会連携講座「データ連成イノベーションリテラシー」の推進に入った。さらに、Evidence based Semanticsの構想を生み出し、データ社会推進協議会でのWG設立などアウトリーチ活動も進んでいる。

今後の研究の推進方策

金融データについては、これまでに開発した手法を発展させ、国際的な経済活動を含めて新たな経済指標を構築することを試みる。
さらに、文脈横断的な多階層ネットワークを構築し感染拡大のダイナミクスをシミュレーションする技術については、コロナ感染のみならず日常生活のダイナミクスの説明、政策構想の支援を行う技術としても発展させ、政府や自治体から発信するメッセージの構築に生かしてもらうことを目指す。
また、扱うデータとしても人流データなどダイナミックなデータへと拡張し、Feature Concept(ユーザが見たい構造図)にフィットした因果関係の階層的な構造(Data Leaf)として表現できるデータの可視化とその説明を可能とし、その応用に挑戦してゆく。この部分は、社会連携講座「データ連成イノベーションリテラシー」の推進、データ社会推進協議会でのWG設立などアウトリーチ活動の中で対象を見出しながら、社会からのフィードバックを得て推進してゆく。

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 図書 (2件) 備考 (3件)

  • [雑誌論文] Evidence based Semantics for Reasoning beyond Your Data2023

    • 著者名/発表者名
      Yukio Ohsawa, Kaira Sekiguchi, Tomohide Maekawa, Hiroki Yamaguchi, and Sae Kondo
    • 雑誌名

      Association for Advance of Artificial Intelligence Springer Symposia

      巻: 1 ページ: 1

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Data Leaves as Scenario-oriented Metadata for Data Federative Innovation on TrustY. Ohsawa, K. Sekiguchi, T. Maekawa, H. Yamaguchi, Prof. 2022 IEEE International Conference on Big Datadoi:2022

    • 著者名/発表者名
      Y. Ohsawa, K. Sekiguchi, T. Maekawa, H. Yamaguchi
    • 雑誌名

      Prof. 2022 IEEE International Conference on Big Data

      巻: 1 ページ: 6159-6168

    • DOI

      10.1109/BigData55660.2022.10020879

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Explanatory Change Detection in Financial Markets by Graph-Based Entropy and Inter-Domain2022

    • 著者名/発表者名
      Y Nishikawa, T Yoshino, T Sugie, Y Nakata, K Itou, Y Ohsawa
    • 雑誌名

      Entropy

      巻: 24(12) ページ: 1

    • DOI

      10.3390/e24121726

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The impact of product descriptions on customers’ trust in sellers and purchase intention,2022

    • 著者名/発表者名
      Yi Sun, Yukio Ohsawa
    • 雑誌名

      Proc. 2022 IEEE International Conference on Big Data (Big Data)

      巻: 1 ページ: 1930-1935

    • DOI

      10.1109/BigData55660.2022.10020527

    • 査読あり
  • [学会発表] Evidence based Semantics for Reasoning beyond Your Data2023

    • 著者名/発表者名
      Yukio Ohsawa
    • 学会等名
      Association for Advance of Artificial Intelligence Springer Symposia
    • 国際学会
  • [学会発表] テキストマイニングを用いた地政学リスクの定量化2023

    • 著者名/発表者名
      小島湧太, 関口海良, 中田喜之, 吉野貴晶, 杉江利章, 夷藤翔, 大澤幸生
    • 学会等名
      第30回 人工知能学会 金融情報学研究会(SIG-FIN)
  • [学会発表] Data Leaves as Scenario-oriented Metadata for Data Federative Innovation on TrustY. Ohsawa,2022

    • 著者名/発表者名
      Yukio Ohsawa
    • 学会等名
      IEEE International Conference on Big Data
    • 国際学会
  • [学会発表] The impact of product descriptions on customers’ trust in sellers and purchase intention,2022

    • 著者名/発表者名
      Yi Sun, Yukio Ohsawa
    • 学会等名
      IEEE International Conference on Big Data
    • 国際学会
  • [学会発表] Why is Imagination Mightier than Knowledge? Draw feature concepts with your pens, mightier than swords2022

    • 著者名/発表者名
      Yukio Ohsawa
    • 学会等名
      Summer School on Advances on AI Lake Como School of Advanced Studies, Como, ITALY
    • 招待講演
  • [学会発表] Graph Based Entropyを用いた株式市場のトレンドの変化点検知の検証2022

    • 著者名/発表者名
      中田 喜之, 大澤 幸生, 吉野 貴晶, 杉江 利章, 夷藤 翔, 西川 遥輔, 小島 湧太
    • 学会等名
      第29回 人工知能学会 金融情報学研究会(SIG-FIN)
  • [図書] Living Beyond Data: Toward Sustainable Value Creation2022

    • 著者名/発表者名
      Ohsawa, Y. (ed)
    • 総ページ数
      200
    • 出版者
      Springer Nature
    • ISBN
      978-3-031-11593-6
  • [図書] Tools for Activating Data Marketplace2022

    • 著者名/発表者名
      Hayashi, T., Ohsawa, Y.
    • 総ページ数
      200
    • 出版者
      Springer Nature
    • ISBN
      978-3-031-06145-5
  • [備考] 内閣官房AI&シミュレーション

    • URL

      https://www.covid19-ai.jp/ja-jp/researcher/yukio-ohsawa/

  • [備考] 社会連携講座「データ連成イノベーションリテラシー」

    • URL

      https://www.panda.sys.t.u-tokyo.ac.jp/DFIL/

  • [備考] 「ステイ・ウィズ・ユア・コミュニティ」内閣官房からも推奨されたコロナ対応

    • URL

      https://www.youtube.com/watch?v=1L9mXbB1f9I

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公開日: 2023-12-25  

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