研究課題/領域番号 |
20K20483
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
熊澤 逸夫 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (70186469)
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研究分担者 |
小池 康晴 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (10302978)
渡辺 義浩 東京工業大学, 工学院, 准教授 (80456160)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 高時間分解能光学的計測 / フォトリフレクタ / 危険運動・行動検知 / ディープラーニング / 時空間信号認識 / フォトトランジスタ / 赤外線LED / 時空間変調照明 |
研究実績の概要 |
3行3列に配置した高輝度赤外線LED9個のそれぞれを固有のコードで時間変調して、発生した赤外光を計測対象に照射し、その計測対象表面から反射してくる光を3行3列に配置した高感度フォトダイオードで受光することにより、5メートル離れた物体の動きをミリ秒以下の高時間分解能で計測することに成功したので、この計測により得られた信号を分析、認識して物体の運動や行動の危険性を検知するディープラーニングの手法の開発に取り組んだ。ただし計測手法の空間分解能がまだ低いため、目標としている微細な運動の検出ではなく、2メートル先の物体の数㎝程度の大きな動きの認識を当該年度は目標とした。計測手法の時間分解能は極めて高く、ミリ秒以下の時間分解能で信号が得られることから、認識手法にも高速性が求められる。当該年度はCNN(Convolutional Neural Network)で高速性を確保するため、2x2のサイズフィルターを階層的に適用するようにして、十分な認識精度が得られるか検証した。入力サイズが3x3に過ぎないので高速処理は行えたが十分な精度は確保できなかった。なおコロナウィルスの感染拡大のため被験者を対象とした実験は行えなかったが、代わりにモーターで駆動する装置で被験者の動きを再現するようにして、検証実験を行うことができた。コロナウィルスの感染が収束したら被験者に実験に参加して頂く予定である。筋電信号による行動予測についても十分な精度が確保できる見込みが得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナウィルスの感染拡大のため被験者を対象とした実験は行えなかったが、代わりにモーターで駆動する装置で被験者の動きを再現するようにして、予定通りに検証実験を行うことができた。また目標以上に高時間分解能を備えた独自のセンサを時空間変調した赤外光を照射する高輝度赤外線LEDアレイとフォトトランジスタアレイ(フォトリフレクタアレイ)を用いて開発することができた。まだ空間分解能が不足しているが、このアレイのLED数とフォトトランジスタ数を増やすことで目標を達成できると見込まれる。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度に開発した高輝度赤外線LEDアレイとフォトトランジスタアレイ(フォトリフレクタアレイ)のLED数とフォトトランジスタ数を増やすことで空間分解能を高める。そうして得られた計測信号をディープラーニングで分析して、危険運動・行動を検知する手法を開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述したように研究自体は順調に推移しているが、当初計画していた高時間空間分解能を備えたセンサの開発は、コロナウィルス感染対策による出張制限のため、試作業者との打ち合わせや共同開発が十分行えず、本格的に行えなかった。オンラインの打合せと郵送による部品や試作のやり取りで、原理検証のための簡易な試作しか行えなかった。そのため前述したように高輝度赤外線LEDとフォトトランジスタで構成したフォトリフレクタアレイのアレイサイズが3x3に限られ、十分な空間分解能げられていない。また遠方の物体を高空間分解能で計測するための高精度な光学系を試作することもできなかった。しかし原理が正しいことは確認できたので研究は順調に推移していると言える。これらの試作に見込んでいた費用が一部しか使われなかったため、残額が生じたが、それを次年度に繰り越してアレイサイズを高めたセンサと光学系を試作する予定である。
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