研究課題
極微量の放射性炭素(14C)濃度の計測は様々な分野で発展し、考古学、人類学、歴史学、地質学における年代決定に威力を発揮することはよく知られている。近年では、生態系の解析、海洋生物の動態やアルツハイマー病の研究にまで応用され、研究の裾野は益々広がりを見せている。しかし現代の天然物中に14Cは、安定な炭素(12C)に比べわずか1兆分の1しか含まれていない。このppt(1兆分の1、Parts-Per-Trillion)レベルの放射性炭素14Cを検出するために、中赤外域のうち最適波長と判断される4.5マイクロメートルの量子カスケードレーザーを導入した。次に、本量子カスケードレーザーを低ノイズ(低いsignal/noise比)で発振可能な超低ノイズレーザードライバーを導入した。これらの量子カスケードレーザーと超低ノイズレーザードライバーを接続したのち、超高感度計測を可能にするためのキャビティ・リングダウン分光法に必要なパルスレーザー光を発振するための方法を検討した。その結果、物理的にパルスレーザー光を作るためのチョッパーを用いなくても、電気的な制御でパルスレーザー光を発振できることを確認し、14C計測のための土台を構築することができた。
3: やや遅れている
量子カスケードレーザーの最適波長の選定に当初の予定よりも時間を要したため。
導入した量子カスケードレーザーとファイバー・ブラッグ・グレーティング(FBG)を光学系ブレッドボードに適切に設置したのち、14Cの初検出を目指す。結果は迅速に学会発表・論文で公表する。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)
ぶんせき
巻: 2 ページ: 52-56
Analytical Chemistry
巻: 92 ページ: 2034~2042
10.1021/acs.analchem.9b04466