研究課題
21世紀はフォトニクス(光科学)の時代と言われるように、近年の光計測技術の発展はめざましい。特に、半導体レーザーの技術革新は、様々な微量分子の精密計測に恩恵をもたらし、例えば二酸化炭素の安定同位体分子(12C, 13C, 16O, 17O, 18O)のレーザー分光計測では、研究代表者により世界に先駆けて超高分解能扇型質量分析計を凌駕する高感度計測が達成された。レーザー分光の利点は、ベンチトップで、商用電源を利用でき、構造がシンプル、かつ加速器質量分析計に比べて格段に安価でありながら、超高感度計測が可能なことである。もし、レーザー分光技術で14C計測が実現できれば、小規模の研究施設でも計測可能となり、飛躍的に新しい研究の裾野を広げることができる。このような背景から、本課題では「最先端のレーザー分光技術」に「光ファイバ技術」と「マイクロ加工技術」を癒合して、基盤研究では挑戦が困難である「新しい14Cの超高感度分光法」を開拓し、放射性炭素(14C)計測法のブレークスルーを目指す。当該年度は、光ファイバに書き込んだ中赤外域をターゲットにしたミラー構造のテストを実施し、本システムが機能しているデータを得ることができた。改善の余地が多く残されているものの、99.6%~99.9%の反射率を得ることに成功した。一方で、サンプルセル両端の光ファイバコリメータの光軸調整が容易ではなく、サンプルセルの設置構造についての吟味が必要であることがわかった。それを踏まえた上で、最適なモードマッチング条件を試験する必要がある。キャビティリングダウンに必要な連続量子カスケードレーザーのパルス化については、電気的な制御で可能にした。
3: やや遅れている
当該年度は、光ファイバに書き込んだ中赤外域をターゲットにしたミラー構造のテストを実施し、サンプルセル両端の光ファイバコリメータの光軸調整が容易ではなく、サンプルセルの設置構造についての吟味が必要であることがわかった。それを踏まえた上で、最適なモードマッチング条件を試験する必要性が出てきた。
最適なモードマッチング条件を得る試験を進めるために、速やかにサンプルセルの設置構造について解決策を見出し、最終ステップであるサンプルガス検出試験を目指す。
光ファイバに書き込んだ中赤外域をターゲットにしたミラー構造のテストを実施し、本システムが機能していることを確認したが、最適なモードマッチング条件を得るための試験を進める必要が生じ、サンプルガス計測のためのシステム構築と計測試験に遅れが生じたため。翌年度はサンプルガス計測のためのシステム構築と計測試験に使用する。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
Analytical Chemistry
巻: 94 ページ: 6446~6450
10.1021/acs.analchem.1c05458