研究課題
21世紀はフォトニクス(光科学)の時代と言われ、半導体レーザーの技術革新は、様々な微量分子の精密計測に恩恵をもたらし、例えば二酸化炭素の安定同位体分子(12C, 13C, 16O, 17O, 18O)のレーザー分光計測では、研究代表者により世界に先駆けて超高分解能扇型質量分析計を凌駕する高感度計測が達成された。レーザー分光の利点は、ベンチトップで、商用電源を利用でき、構造がシンプル、かつ加速器質量分析計に比べて格段に安価でありながら、超高感度計測が可能なことである。もし、レーザー分光技術で14C計測が実現できれば、小規模の研究施設でも計測可能となり、飛躍的に新しい研究の裾野を広げることができる。このような背景から、本課題では最先端のレーザー分光技術に光ファイバ技術を癒合して、基盤研究では挑戦が困難である「新しい14Cの超高感度分光法」を開拓し、放射性炭素(14C)計測法のブレークスルーを目指している。当該年度は、前年度に引き続き光ファイバに書き込んだ中赤外域をターゲットにしたミラー構造のテストを継続し、99.95%の反射率を得ることができた。一方で、前年度からの課題であるサンプルセル両端の光ファイバコリメータの光軸調整法についての改善策の試行錯誤が続いた。その間に新規光ファイバ技術である「中空光ファイバ」が登場し、この技術を採用することで、光軸調整とサンプル量の微量化を同時に解決できる可能性を見出すことができた。
3: やや遅れている
前年度からの課題であるサンプルセル両端の光ファイバコリメータの光軸調整法についての改善策の試行錯誤が継続中のため。
当該年度に新規光ファイバ技術である「中空光ファイバ」が登場し、この技術を採用することで、光軸調整とサンプル量の微量化を同時に解決できる可能性を見出すことができた。当初計画にはない要素であるが、当初の予定よりもさらに高感度検出を可能できることが予測されるため、鋭意、中空ファイバ技術を導入、試験していく予定である。
前年度からの課題であるサンプルセル両端の光ファイバコリメータの光軸調整法についての改善策の試行錯誤が継続しているために次年度使用額が生じた。同時に、光軸調整とサンプル量の微量化を同時に解決できる可能性のある新規光ファイバ技術である「中空光ファイバ」が登場し、翌年度にこの技術を試験導入する予定であるため、物品費として執行する計画である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件)
Analytical Chemistry
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