研究実績の概要 |
21世紀はフォトニクス(光科学)の時代と言われ、半導体レーザーの技術革新は、様々な微量分子の精密計測に恩恵をもたらし、例えば二酸化炭素の安定同位体分子(12C, 13C, 16O, 17O, 18O)のレーザー分光計測では、研究代表者により世界に先駆けて超高分解能扇型質量分析計を凌駕する高感度計測が達成された。レーザー分光の利点は、ベンチトップで、商用電源を利用でき、構造がシンプル、かつ加速器質量分析計に比べて格段に安価でありながら、超高感度計測が可能なことである。もし、レーザー分光技術で14C計測が実現できれば、小規模の研究施設でも計測可能となり、飛躍的に新しい研究の裾野を広げることができる。このような背景から、本課題では最先端のレーザー分光技術に光ファイバ技術を癒合して、基盤研究では挑戦が困難である「新しい14Cの超高感度分光法」を開拓し、放射性炭素(14C)計測法のブレークスルーを目指している。 当該年度は、前年度に引き続き光ファイバに書き込んだ中赤外域をターゲットにしたミラー構造のテストを継続し、高反射率の結果を得ることができた。また、前年度からの課題であるサンプルセル両端の光ファイバコリメータの光軸調整法についての改善策を見出した。さらに、連続発振レーザーを電気的にパルス化する仕組みを構築し、ガス検出のための一連の構造を完成することができた。
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