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2019 年度 実績報告書

磁場と核偏極とガンマ線を用いた新たな医用イメージングの開拓と原理検証

研究課題

研究課題/領域番号 19H05584
配分区分補助金
研究機関東京大学

研究代表者

島添 健次  東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任講師 (70589340)

研究分担者 富田 英生  名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (20432239)
鎌田 圭  東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 准教授 (60639649)
研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2023-03-31
キーワードガンマ線 / PET / MRI / 核偏極 / 磁場
研究実績の概要

これまで悪性腫瘍の検出などの核医学診断はPET (Positron Emission Tomography)やSPECT
などに限られてきたが、空間分解能の点で限界がある。一方でMRIは高分解能な形態診断が
可能であるが感度の点で限界がある。また分子間相互作用の全身イメージングは困難であ
った。本研究では新たに磁場と核偏極とガンマ線を利用した医用イメージング診断装置の
開拓と原理検証試験を行う。これによりPETの感度とMRIの空間分解能を両立できる技術の確立を目指す。本年度はガンマ線の複数光子の同時検出による時間的空間的なガンマ線イメージング装置の開発を実施し、位置分解性能を確認した。これにより将来的に分子間相互作用などの局所情報抽出原理の検証を実施し、実現可能性を示した。また実際の検出器には開発した高速シンチレータアレイを実装し512チャネルの同時エネルギー、時間計測システムを実現した。加えて小型レーザーシステムを開発し、Cs原子の選択的励起、分光に成功した。今後本技術を必要な対象核種へと展開し原理検証を実施する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本年度までに高速のシンチレータアレイ検出器の製作および目的としている多光子からの時間的空間的相関イメージング装置の開発を実施した。具体的には8x8シンチレーターアレイを8個用いることで512chの並列時間、エネルギー同時計測が可能なリング上のシステムを構築した。これによりナノ秒オーダーの寿命を計測可能なシステムを構築することに成功した。本装置を用いて異なるpHの値などの検出が開発した装置から得られるガンマ線の分布から位置情報とともに判別可能であることを実証した。加えて磁場装置を用いた数T程度の磁場印加によるガンマ線の放出方向分布のデータから該当する振動周波数を検出することに成功した。これにより磁場情報をもちいた位置分解が可能であることが示されたため、本研究の大きな進展がみこまれる。また核偏極においては今回開発したレーザーを用いたCs原子の励起および分光に成功した。以上により本研究は原理検証の部分で進展している。

今後の研究の推進方策

本年度までに高速のシンチレータアレイ検出器の製作および目的としている多光子からの時間的空間的相関イメージング装置の開発を実施した。また開発装置を用いて、目的としていた磁場を用いた位置分解の原理の実証および、コリメーター型の検出器を用いたpHなどの局所情報の抽出に成功し、分子間相互作用などの化学反応の抽出原理の実証見込みが得られた。核偏極においては今回開発したレーザーを用いたCs原子の励起および分光に成功した。今後の研究方針としては、磁場を用いた手法と局所情報抽出手法を組み合わせることとで高感度化および位置分解性能の融合を図る。また従来のガンマ線イメージングでは実現が困難であった1mm以下の空間分解能を実現するためのファントム試験などを実施することで理論的な限界などを検証していく。またレーザーにおいては実際の対象核種に必要な波長をえるために倍波を生成可能な結晶やレーザーシステムの構築を実施することで、更に核偏極などと組み合わせた高感度化の試験を実施していく。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] ミュンヘン大学(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      ミュンヘン大学
  • [雑誌論文] Performance evaluation of Liquinert-processed CeBr3 crystals coupled with a multi pixel photon counter2020

    • 著者名/発表者名
      Y. Otaka, K. Shimazoe, Y. Mitsuya, M. Uenomachi, F. W. Seng, K. Kamada, A. Yoshikawa, S. Sakuragi, T. Binder, H. Takahashi
    • 雑誌名

      IEEE Transactions on Nuclear Science

      巻: 2-2 ページ: 1-1

    • DOI

      10.1109/TNS.2020.2975296

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Development of circuit integrated monolithic SOI-SiPM for radiation detection2020

    • 著者名/発表者名
      C. Kim, A. Koyama, K. Shimazoe, H. Takahashi, T. Takeshita, I. Kurachi, T. Miyoshi, I. Nakamura, S. Kishimoto and Y. Arai
    • 雑誌名

      Journal of Instrumentation

      巻: 15(02) ページ: C02049

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Growth and Characterization of CdTe Single Crystals Prepared by the “Liquinert Processed” Vertical Bridgman Method for Radiation Detectors2019

    • 著者名/発表者名
      Sekine Ryotaro , Mizuki Uenomachi, Hiroki Asafusa, Kazuyasu Tokiwa, Kenji Shimazoe, Hiroyuki Takahashi, Yoshiyuki Harada, Akira Fujimoto, Takeshi Hirai, Shiro Sakuragi
    • 雑誌名

      Cryst. Growth Des.

      巻: 19,11 ページ: 6218-6223

    • DOI

      https://doi.org/10.1021/acs.cgd.9b00706

    • 査読あり
  • [学会発表] Development of SiPM using SOI Technology2019

    • 著者名/発表者名
      C. Kim, A. Koyama, K. Shimazoe, H. Takahashi, T. Takeshita, I. Kurachi, T. Miyoshi, I. Nakamura, S. Kishimoto and Y. Arai
    • 学会等名
      iWoRiD 2019
    • 国際学会
  • [学会発表] Simultaneous multi-nuclide in vivo imaging using GAGG-SiPM Compton-PET hybrid camera2019

    • 著者名/発表者名
      Mizuki Uenomachi, Wei Seng Foong, Kenji Shimazoe, Hiroyuki Takahashi, Miwako Takahashi, Kei Kamada, Tadashi Orita
    • 学会等名
      IEEE Nuclear Science Symposium and Medical Imaging Conference 2019
    • 国際学会
  • [学会発表] PET・多光子計測原理の高度化と可視化装置開発2019

    • 著者名/発表者名
      島添健次
    • 学会等名
      日本アイソトープ協会シンポジウム「PET・イメージング研究の最前線~ライフサイエンスと理工学の融合~」
    • 招待講演
  • [学会発表] コンプトンガンマカメラの進展と活用2019

    • 著者名/発表者名
      島添健次
    • 学会等名
      次世代放射線シンポジウム2019
    • 招待講演
  • [備考] 研究概要

    • URL

      http://spiny.q.t.u-tokyo.ac.jp/id.html

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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