研究課題
超高齢化社会における2大疾患として、骨粗鬆症とアルツハイマー病などの認知症といった精神・神経疾患があげられる。どちらも加齢に伴うため、両者が併存する確率は非常に高い。また、骨折は寝たきりに繋がり、寝たきりは認知機能の低下をもたらす一方で、リハビリテーションは認知症患者の記憶・学習能力を改善させるといわれている。しかし、その相関や因果関係に関する研究は多くない。加齢に伴う認知症の発症原因がどのように骨代謝異常・骨疾患に結び付くのか、本年度はアルツハイマー病などのモデルマウス、自然老化モデルマウス、および骨粗鬆症モデルマウスの骨組織と加齢に付随する疾患・症状との相関を明らかにすることにより、その共通原因またはそれぞれの病因について解析した。アルツハイマー病モデルマウスを用いた解析では、アミロイドβは骨組織に沈着し骨量減少を引き起こすことを明らかにした。骨組織へのアミロイドβの沈着は、脳内での沈着や認知機能・学習の低下とも独立して発生する可能性が示唆された。またこのモデルマウスでは行動異常の発症次期に前後して、何らかの循環性の細胞と膝関節細胞での遺伝子発現変化を介して、軽い運動負荷(トレッドミル)による脛骨の易骨折性を誘導した。脳内の変性に依存する液性因子が骨脆弱性を引き起こすことが示唆された。この骨脆弱性は自然発生の学修記憶障害を呈するマウスでは検出されなかったことから、神経障害性のアミロイドβに依存した骨脆弱性であると考えられた。
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Osteoarthritis and Cartilage Open
巻: 5 ページ: ー
10.1016/l.ocarto.2023.100364
Nature Communication
巻: 13 ページ: ー
10.1038/s41467-022-31592-x