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2023 年度 実施状況報告書

血漿タンパク成分による老齢ザルの若返り法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K20497
研究機関京都大学

研究代表者

中村 克樹  京都大学, ヒト行動進化研究センター, 教授 (70243110)

研究分担者 今村 公紀  京都大学, ヒト行動進化研究センター, 助教 (80567743)
春日 健作  新潟大学, 脳研究所, 助教 (70547546)
研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2025-03-31
キーワード老化 / 血漿タンパク / 若返り / サル
研究実績の概要

1)個体の老化の客観的指標となる細胞増殖能の評価:コモンマーモセットの加齢に伴う細胞特性の変化について、皮膚線維芽細胞の増殖能に着目して検証を行った(新生児~老齢:14個体)。老齢のマーモセット4個体について、TIMP2投与前後での線維芽細胞の増殖能を比較解析したところ、TIMP投与前でも若齢個体と同程度の増殖能を示す1個体(投与前:13歳10か月齢、投与後:14歳9か月齢)では細胞増殖に変化は認められなかったのに対し、投与前の時点で細胞増殖が著しく低下していた3個体(投与前15歳11か月齢:投与後18歳6か月齢、投与前17歳2か月齢:投与後18歳3か月齢、投与前18歳9か月齢:投与後21歳10か月齢)では増殖能の亢進が観察された。
2)血液採取:内側側頭葉にAβ43シードを注入したマーモセット2頭、内側側頭葉にAβ42オリゴマーシードを注入したマーモセット6頭、およびシード注入のないマーモセット2頭から採取した血漿および脳脊髄液中のAβ40、Aβ42を定量した。特にAβ42オリゴマー注入前後で検体を採取し得た5頭のうち3頭では、注入前に比べ注入後3か月で脳脊髄液Aβ42/Aβ40比の低下を認め、そのうち1頭では注入後6か月後、9か月後とさらに低下を認めた。今後、脳組織でのAβ沈着との相関を解析予定である。
3)認知機能評価:マーモセット6個体でGO/NO-GO課題を訓練し、若齢個体と老齢個体における成績を比較している。現在のところ老齢個体での成績が若齢個体と匹敵するものであり、差が認められていない。4)脳機能評価:様々な年齢のマーモセット脳のMRI画像を取得して比較している。5)骨密度測定装置(DXA)を用いた骨密度・体脂肪率等の評価:年齢による骨密度の減少が見られることが明らかになった。6)運動機能評価:老齢個体で活動量が低下している傾向が認められた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

認知機能の評価を実施する目的であったが、老齢個体の認知機能が若齢個体と遜色なく、タンパクの効果を検討できていないため。別の認知課題を検討する必要がある。また、非常に高齢の個体が体調を崩し、安楽殺を実施しなければならなかったため。

今後の研究の推進方策

上述の6つの項目を中心として、タンパク投与前のデータ取得を終えた個体から、順番にタンパク投与を開始していく。特に、全体的な活動量・細胞増殖能でどのような変化が見られるのかを重点的に解析する。引き続き、分担研究者の今村公紀博士に、細胞増殖能の評価を推進してもらう。分担研究者の新潟大学春日健作博士に、血液・脳脊髄液成分を分析してもらう。脳機能の評価に関しては、鴻池菜保博士にMRI計測と脳波実験で協力してもらう。新潟大学の伊藤浩介准教授にも協力を依頼して、脳波を用いた脳機能計測では、物質投与の前後において、視覚刺激(同種他個体の顔写真等)および聴覚刺激(純音や他個体の鳴き声等)に対する誘発電位の大きさや潜時などを、投与前後で比較する。

次年度使用額が生じた理由

認知機能評価に予想より時間がかかったため。また、血液成分や脳脊髄液成分の分析の打ち合わせや条件設定の検討に時間がかかったため。今後は研究補助者を雇用するなどして、研究を加速させる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 飼育下におけるコモンマーモセットの体組成2024

    • 著者名/発表者名
      三輪美樹, 鴻池菜保, 中村克樹
    • 学会等名
      第13回日本マーモセット研究会
  • [学会発表] コモンマーモセットにおける同属他個体の鳴き声を聴いている間の事象関連パワースペクトルの減少2023

    • 著者名/発表者名
      鴻池菜保, 三輪美樹, 中村克樹
    • 学会等名
      第46回日本神経科学大会

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公開日: 2024-12-25  

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