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2023 年度 実施状況報告書

個別製品レベルの大規模ミクロ・データに基づく新たな価格モデルの構築

研究課題

研究課題/領域番号 20K20510
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

寺西 勇生  慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (50710456)

研究分担者 庄司 俊章  成蹊大学, 経済学部, 講師 (10846801)
研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2025-03-31
キーワード価格モデル / 製品レベルの大規模データ
研究実績の概要

2023年度では、特に、新しい価格モデルと従来の価格モデルの比較分析、研究成果の発信について大きな進展があった。「Dong, Mei, Toshikai Shoji, and Yuki Teranishi, Product Cycles and Phillips curve: Theory and Evidence」では、市場での販売摩擦の下で製品サイクルの動きが価格に大きな影響を与えていることが明らかになった。特に、製品が市場に投入される際の新規価格が市場全体の価格に大きな影響を及ぼすことから、製品サイクルの動きが価格インデックスの約50パーセントほどの動きを説明することを新たに示した。こうした製品サイクルを新規価格の性質は従来のモデルには含まれておらず、本研究での大きな発見となる。また、モデルの推計を通じて、日本の製品市場に取引相手を探すための摩擦が存在することを示した。

また、「Shoji, Toshikai and Yuki Teranishi, Product Cycles and Consumer Price Index」では、日本の公式な消費者物価指数(CPI)が、財の参入と退出からなる製品サイクルに影響を受けるのかを、財の参入についての代表的な理論モデルであるBilbiie, Ghironi, and Melitz (2007)のモデルを用いて検証を行った。モデルを日本のデータを用いてベイズ推計を行った結果、CPIが財の参入から影響を受けるとの結果を得た。特に、財の参入に関連したショックがCPIの約20パーセント程度の変動を説明することを示した。

研究成果については、メルボルン大学やハワイ大学において報告を行った。研究にあたっては、メルボルン大学に滞在しながら研究を精力的に進展させることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究では、まず個別製品レベルの大規模ミクロ・データを用いて価格設定についての新たな観察事実を示す。この際、ミクロ・データの特徴を生かし、ある製品・製品間関係の時間変化に着目した時系列方向と、ある時点の製品・製品間の状態・違いに着目した横断面方向の2方向から、製品価格の形成過程の特徴を解明する。その上で、新たな事実に基づき全く新しい価格モデルを構築する。研究実施計画として、本研究では(1)データ観察を通じた事実の解明、(2)新たな事実に基づいた新しい価格モデルの構築、(3)新しい価格モデルと従来の価格モデルの比較分析、(4)研究成果の発信、の4つの大きな柱を定めて研究を行っている。

2023年度では、特に、(3)新しい価格モデルと従来の価格モデルの比較分析、(4)研究成果の発信、について大きな進展があった。また、2つの研究論文、① Dong, Mei, Toshikai Shoji, and Yuki Teranishi, Product Cycles and Prices: Theory and Evidence、② Shoji, Toshikai and Yuki Teranishi, Product Cycles and Consumer Price Index、を執筆することができた。

また、研究成果については、メルボルン大学やハワイ大学において報告を行った。研究にあたっては、メルボルン大学に滞在しながら研究を精力的に進展させることができた。

今後の研究の推進方策

研究実施計画として、本研究では(1)データ観察を通じた事実の解明、(2)新たな事実に基づいた新しい価格モデルの構築、(3)新しい価格モデルと従来の価格モデルの比較分析、(4)研究成果の発信、の4つの大きな柱を定めて研究を行っている。

(1)データ観察を通じた事実の解明、についてはデータの購入が終了し、ある程度のデータ分析を行うことができた。(2)新たな事実に基づいた新しい価格モデルの構築、については、モデルの構築が終了した。(3)新しい価格モデルと従来の価格モデルの比較分析、については従来のモデルでは説明できなかった日本で長く続くデフレの要因として、製品サイクルでの価格下落とサイクルのスピードが大きく関係することを上述の2つの論文で示すことができた。(4)研究成果の発信、については現在行っている投稿作業を引き続き行う予定である。また、セミナー、ワークショップ、学会などでの研究報告を行っていく予定である。

また、機会があればメルボルン大学に滞在しながら共同研究者のDong教授と更に研究を深めていきたいと考えていいる。

次年度使用額が生じた理由

一昨年度にコロナ下で海外への渡航ができなかったため、出張費の支出が順調に行えず、この遅れがいまだ残るなか、次年度使用額が生じることとなった。

使用計画としては、論文を完成させると同時に、経済誌への投稿作業を行っていく予定である。また、国内での製品価格調査を行う予定である。

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公開日: 2024-12-25  

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