研究課題/領域番号 |
20K20513
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
小林 哲郎 神戸大学, 法学研究科, 研究員 (60455194)
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研究分担者 |
松井 勇佑 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 講師 (80780676)
佐藤 真一 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 教授 (90249938)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 深層学習 / テレビの内容分析 / 顔検出 / 顔トラッキング / 政治コミュニケーション |
研究実績の概要 |
新型コロナウイルスの蔓延に伴う入国制限によりポスドクの採用が遅れたが、2021年5月に採用できたことにより研究が加速した。まず、研究計画における第一フェーズに相当する、顔検出アルゴリズムの改良に取り組んだ。その際、バリデーションに用いる目視アノテーションデータの精度を高めるため、再度サンプリングされたNHK News7のデータのアノテーションを外部に委託して行った。この新しいアノテーションデータの作成により、顔検出・トラッキングアルゴリズムの精度を有意に高めることに成功した。したがって研究計画の第一フェーズは達成された。さらに、改良されたアルゴリズムを用いてNHK News7における首相の登場時間の過去20年間における推移、首相と野党党首の登場時間の比の推移、および国政選挙時における日毎の党首登場時間の推移の分析を行い、その結果をコミュニケーション研究のトップカンファレンスであるInternational Communication AssociationのComputational Methods Divisionに投稿し、採択された。発表は2022年5月にオンライン上で行われる。また、2022年1月には国内の政治学のワークショップであるThe Japanese Society for Quantitative Political Scienceでも発表を行い、社会科学者から有益なフィードバックを得た。さらに、研究計画の第二フェーズではNHKと民放のニュース番組における政治家の登場パタンの違いを検討するため、テレビ朝日の報道ステーションのデータをサンプリングし、NHKと同様のアノテーションデータを作成した。これにより第二フェーズの分析に必要なデータが整った。現在は第一フェーズにおける顔検出・トラッキングアルゴリズムの改良についての英語論文をまとめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ポスドクの採用がコロナ禍によって遅れていたが、2021年5月に採用予定者が入国できたため、この遅れは取り戻すことができた。2021年5月以降は採用されたポスドク、および分担研究者との緊密な連携により研究が加速し、「研究実績の概要」に記したように顕著なアウトプットを出すことができた。具体的には研究計画に記した第一フェーズは完了し、そのアウトプットを英語論文にまとめている段階である。すでにプロジェクトは第二フェーズに入っており、予備的な分析の結果は国内ワークショップ等で発表している。また、研究チームは常時Slack上でコミュニケーションを取り、月に1回はZoomで進捗の共有と方針の確認を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は研究計画における第二フェーズの分析を進める。現在、首相のテレビの登場時間の推移が世論に及ぼす効果を検証するため、内閣支持率のデータを入手・整備している。また、与野党の政治家の登場時間のバランスと国会における議席のバランスの相関を検討するため、議席率の推移のデータをすでにまとめた。これらの異なるデータは結合され、時系列分析によって統計的な検討が加えられる予定である。さらに、主な民放のニュース番組として報道ステーションに注目し、政治家の登場パタンがNHKとどのように異なるのかについても分析を進める。同時に、学会発表と論文発表を進める。すでにコミュニケーション研究のトップカンファレンスであるInternational Communication Associationでの発表が採択されているが、これにとどまらずに成果の発表を推し進める。現在鋭意執筆中の第一フェーズに関する英語論文は2022年度の早い時期に投稿可能となる予定である。続いて第二フェーズの成果を社会科学系の国際誌に投稿する予定である。さらに、テレビニュースアーカイブは映像データだけではなく字幕データも保存されているため、映像データとテキストデータの比較分析も行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じたのは、新型コロナウイルスの蔓延によりポスドクの採用予定者がスペインからの入国ができず、採用が遅れたためである。ポスドクの採用は2021年5月にずれ込んだため、それまでの分の人件費が繰り越されることになった。さらにパンデミック下での人流制限により、旅費の執行が予定よりも大幅に少なくなったことも次年度使用額が発生した理由の一つである。次年度以降もディープラーニングを用いた実験用のアノテーションデータの作成等で費用が発生する予定であり、次年度繰越額はこれらの用途に使用される。
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