研究課題
従来のロブスターアイ光学系(LEO)の製造上の問題であった素性変形による結像性能の悪化を回避することを目指して、3次元レーザー微細加工および磁気流体研磨により、ガラス平板にLEOを構築した。この加工において、最初のレーザー切削による表面粗さが大きいことが顕在化したため、高温アニーリングを1ヶ月程度の長期間にわたって実施することで初期の粗さを低減し、その上で磁性流体研磨を行った。これにより、従来のLEOと同等の10分角程度のX線結像性能を得ることができた。しかしながら、それ以上の高精度化を見込むためには、最初のレーザー加工による表面粗さを1桁以上も小さくしなくてはならず、さまざまな製造パラメータで実施したが、現在の技術では困難な状況であると判断している。また、アニーリングの時間が長いことも量産化を行う際の問題となる。一方で、複数のLEOを配列する技術は大きく進展した。(1) コリメータ光(高い平行度を持った光)を用いることで、LEOの実行的な焦点距離を測定する。LEOの微細な穴を通過した際の回折・干渉の効果を考慮し、その重心位置を求めることでLEOの焦点距離を定める。(2)微小な焦点距離の違いに対応した数10ミクロン厚のシム調整により、約1分角の精度で複数のLEOのアラインメントを調整する。(3)X線ビームラインによってX線結像性能を確認する。焦点面検出器には2k x 2k ピクセルのX線CMOSセンサーを用いてX線像を取得し、結像中心の位置や十字の腕の広がりを計測することで、LEO単体の結像性能と遜色ないX線像を得ることができている。これにより、広視野化を実現できることを示した。
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すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 3件、 招待講演 5件)
Proceedings of the SPIE
巻: 12181 ページ: 12181, 10pp
巻: 12181 ページ: 121815J, 7pp
10.1117/12.2627445