研究課題/領域番号 |
20K20530
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
野老山 貴行 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (20432247)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | マイクロプラスチックテクスチャ / 熱伝導率 / 炭素微粒子 / 熱交換器 |
研究実績の概要 |
家庭用冷蔵庫内等の熱交換器に発生する着霜は,冷却機能を害するため,除霜のためにヒータが使用され,無駄にエネルギが消費されている.そこで表面への着霜防止を目的としたマイクロプラスチックテクスチャリングの創製方法について研究を行う.アセトン溶媒に溶融させたポリ塩化ビニルを材料表面に塗布し,電界印加乾燥中に自己凝集して突起を形成する手法により作製を行う.熱交換性能向上のため,炭素系粉末物質を配合した熱伝性向上テクスチャリングの創製を行う.
(Ⅰ)熱交換性能を維持するため,マイクロプラスチックテクスチャ(MPT)へ炭素系微粒子混入実験を実施した.ポリ塩化ビニル溶融アセトン溶液への炭素微粒子混入と電場印加による溶媒の変形動作が確認され,溶媒内で炭素微粒子がかく拌されていると考えられる.微粒子形状を表面に付与した状態にて,基板のヒータ加熱による熱伝達特性測定を行ったところ,炭素微粒子未混入MPTに比べ熱伝達特性が向上していることが確認されたが,問題点として,炭素微粒子を混入した場合,基板への密着力が減少することが見出された.今後アルミニウム基板や銅合金基板への密着力向上を目指した熱処理過程を導入することで解決を試みる.また,熱処理過程ではポリ塩化ビニルの溶融点を十分に超えてしまうと,マイクロテクスチャ構造が失われてしまうため,形状を維持可能で,密着強度を向上可能な正確な温度測定と表面の観察を行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アセトン溶媒へのポリ塩化ビニルと炭素系微粒子の混合溶液の作製,この溶液によるマイクロプラスチックテクスチャの作製,熱交換効率に直接影響する熱伝達速度の向上が一つの試験片で確認された.
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今後の研究の推進方策 |
熱伝達率のさらなる向上のためには,炭素微粒子の配列が重要であるため,マイクロプラスチックテクスチャの断面観察が必要となる.そのため,ダイヤモンドワイヤーソーを利用した切断を行うこと,及びFESEMを用いた断面観察を行う予定.また,マイクロプラスチックテクスチャの銅及びアルミニウム合金への密着強度向上のための熱処理過程の最適化を実施予定.
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に計画していた旅費等が削減されたため,繰越金が生じたが,2021年度に論文執筆などの英文校閲等に充当して,研究成果を発表する場を促進していく予定.
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