研究課題/領域番号 |
20K20537
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
清水 孝一 早稲田大学, 理工学術院(情報生産システム研究科・センター), 教授(任期付) (30125322)
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研究分担者 |
加藤 祐次 北海道大学, 情報科学研究院, 助教 (50261582)
北間 正崇 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (50285516)
任田 崇吾 石川工業高等専門学校, 電子情報工学科, 助教 (50847382)
犬島 浩 早稲田大学, 理工学術院(情報生産システム研究科・センター), 教授 (60367167)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 時間反転 / 位相共役 / 光伝搬 / 光散乱 / 無侵襲計測 / 分光計測 / 生体計測 / 拡散 |
研究実績の概要 |
本研究は、位相共役波による時間反転という新原理を散乱分光の分野に新たに導入することにより、これまで実現が困難であった強い散乱体内部における局所領域分光計測技術の開発を目的とする。初年度の研究実績は次のとおりである。 1.理論解析により、着想を具現化するための基本的計測方法、計測条件、計測範囲などを明確化した。具体的には、(1) 輸送方程式の拡散近似式からスタートし、散乱体内部の光伝搬領域の時間変化を定式化した。(2) 理論モデルをもとに、必要とされる入射光量、最適な変調周波数、検出感度、計測系のSN比、計測可能深さ等の解析を行った。 2.理論解析の結果をもとにシミュレーションを行い、計測対象および所要計測範囲に対する最適化を行った。具体的には、(1) 拡散方程式を基本とした理論モデルをもとに、生体内部局所領域分光を模擬するシミュレーションプログラムを開発し、モンテカルロ法との比較を通して、開発プログラムの正確さを検証した。(2) 体内分光計測の空間分解能を向上させるため、超音波変調周波数を繰り返し掃引するチャープ方式を独自に考案した。(3) チャープ方式を組み込んだシステムの働きを、シミュレーションで確認した。またそれによる空間分解能の向上を、イメージングシミュレーションにより実証した。 3.理論解析およびシミュレーションの結果を踏まえ、散乱体内部局所領域分光計測システムの具体的設計を開始した。 4.これらの成果を国際会議や国内学会で発表するとともに、学術誌に投稿し4件採択、掲載された。発表の内1件は、表彰を受けた。また、2021年4月の米国光学会(OSA)講演、および5月開催の国際会議基調講演が決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
体内局所領域の選択的計測やイメージングでは、その空間分解能の小ささが、提案手法成否の鍵となる。従来の方法では、光に対する超音波変調の周波数が一定であり、空間分解能には限界があった。これに対し本研究では、超音波周波数を周期的に掃引したチャープ超音波を用いることを、新たに考案した。イメージングシミュレーションを通し、この方法で計測領域の空間分解能が大きく向上することが確かめられた。これにより、本研究の進展が加速すると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で明らかになった、位相情報だけではなく強度情報も正しく再現した位相共役波を用いることは、引き続き堅持する。また今回明らかになった、超音波周波数を掃引することをさらに発展させる。これらにより、当初の計画を超えた性能の技術開発に向け、本研究課題を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度購入予定の機器を使用する実験において、他予算で購入した機器を用いてより高精度な計測が可能なことがわかった。このため節約できた予算を、翌年度にさらに高性能な実験機開発に利用することにした
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