研究課題
金ナノギャップ電極を真空中、酸素中、窒素中、1 vol.%の一酸化炭素と空気の混合ガス(CO/air)中で電圧を印加しながら環境制御型透過電子顕微鏡(ETEM)その場観察し、その表面形状や原子スケール構造の変化のガス種および電界強度依存性を調べた。酸素と窒素とCO/ari中で金ナノギャップ電極に電圧を印加すると、正極表面の金が電界蒸発し、金原子が負極側に移動する現象が観察された。その電界強度の閾値は酸素中、窒素中で約4 V/nm、CO/air中で約6 V/nmであった。真空中では30 V/nmまで電界強度を上げても同様の現象は観察されなかったことから、ガス分子が金表面に吸着・反応することで電界蒸発し易くなっていると考えられる。酸素と窒素中では電界蒸発中に正極表面の構造は乱れ、アモルファス構造に変化した。一方、CO/air中では電界放出中でも正極表面はfcc構造を保持していた。CO分子が吸着することで金正極の表面構造が安定化されていると考えられる。この電極表面反応における局所的な電界の影響を調べるために、ナノギャップ電極先端近傍に形成される空間電位分布、電界、電極先端の表面電荷のシミュレーションを実施した。電極針先端の曲率半径ならびにギャップ間隔を系統的に変えることで、局所的に増強された電界の強度の変化を追跡した。電界蒸発時に電極正極表面の結晶構造が乱れる様子が可視化できているが、この金属電極表面の原子・分子ダイナミクスが電界強度と相関することを見出した。電界強度は電極間において最大となっており、電極表面の電荷量との相関も考えられる。本研究により得られた成果は、ナノ構造体の形成条件(印加電圧、電界強度、気体種、気体分圧、結晶面)を見出すための重要な知見となる。
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