本研究では、赤外パルスレーザーによる「モード選択的な振動励起」の学術的基礎を築くとともに、その物質操作への応用可能性の開拓をを目的とした。まず、理論解析により、赤外パルスの電場波形およびフルエンスに応じた多段階振動励起の予測を可能とした。次に、二酸化炭素分子を対象とし、中赤外パルスによる多段階振動励起を実現した。具体的には、液相の二酸化炭素の逆対称伸縮振動モードに関して初めて量子数9に至る励起を達成し、気相の二酸化炭素における振動・回転の多段階励起と回転波束生成にも初めて成功した。以上の通り、波形整形赤外パルスが高度な振動励起を可能とすることを実証し、物質操作への応用可能性の開拓に貢献した。
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