| 研究課題/領域番号 |
20K20572
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| 研究機関 | 岡山大学 |
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研究代表者 |
能年 義輝 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (70332278)
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| 研究分担者 |
川口 章 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 西日本農業研究センター, 上級研究員 (80520486)
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| 研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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| キーワード | リゾビウム属細菌 / 片利共生細菌 / 植物根圏微生物 / 宿主定着能 / 植物免疫 |
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| 研究実績の概要 |
植物は微生物を感知して自然免疫を誘導する。しかし、植物の表面や内部には微生物が定着しているが、これらの微生物と宿主植物との相互作用の仕組みはよくわかっていない。本研究では、ブドウ根頭がんしゅ病菌の原因となるRhizobium vitis Ti株、病原細菌に対する抗菌活性を持ちがんしゅ病を抑制できる同属同種の拮抗細菌VAR03-1株、非病原性非拮抗性のVAR06-30株、およびシロイヌナズナを材料とし、細菌の植物根圏への定着機構の解明を目指す。これら菌株は培地に混合してもシロイヌナズナの生育には影響しなかった。一方、培地にショ糖を加えた場合にはシロイヌナズナの生育を阻害した。菌が菌体密度を感知するために放出するAHLが、植物にエチレン生成を誘導して生育を阻害するという報告があったが、生育阻害とAHLとの関係は否定された。ショ糖存在下では、特に根周辺で菌が増殖していたこと、植物内部には菌は侵入していなかったこと、増殖速度が低下した変異菌株はショ糖存在下でも植物に生育阻害を示さないこと、植物の地上部にはパターン誘導性免疫のマーカーであるFRK1の発現上昇が確認されたことから、増殖した菌に由来する微生物分子パターンの量が閾値を超え、植物が防御応答を恒常的に誘導したことが生育阻害の原因と考えられた。一方、窒素、リン酸、鉄イオンが欠乏した培地に菌を接種すると、シロイヌナズナの生長が促進された。細菌は植物の根表面にバイオフィルムを形成して定着するが、この時一部の細菌が溶菌することでバイオフィルムの基材となるDNAを供給する。つまり、植物は溶けた細菌に由来する元素等を養分として利用している可能性がある。以上の結果から、植物は微量元素や無機塩などを根の周辺から回収して利用するために細菌を利用しており、光合成産物である炭素源の根からの供給量でその関係性を制御していると推測された。
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