研究課題/領域番号 |
20K20579
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西増 弘志 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (00467044)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | CRISPR |
研究実績の概要 |
CRISPR-Cas獲得免疫機構に関与するRNA依存性DNAヌクレアーゼCas9はガイドRNAと複合体を形成し標的DNAを切断するため、ゲノム編集ツールとして広く利用されている。一方、最近発見されたCas12kはガイドRNAと複合体を形成し、ガイド配列と相補的な2本鎖DNAに結合する。Cas9と異なり、Cas12kはDNA切断活性をもたず、Tn7様トランスポゾン因子(TnsB、TnsC、TniQ)とCAST(CRISPR-associated transposase)複合体を形成し、ドナーDNA中の特定のカーゴ配列をターゲットDNAに挿入する。既知のトランスポザーゼはターゲットDNAの様々な部位にドナーDNAのカーゴ配列を挿入するのに対し、CAST複合体はCas12k-ガイドRNAの結合部位から約60塩基下流の位置にカーゴ配列を選択的に挿入する。ドナーDNAの挿入部位はガイドRNAによって規定されるため、CASTを用いることによりDSBを引き起こすことなくゲノムの狙った位置へのノックインが可能であると期待されている。しかし、Cas12k、TnsB、TnsC、TniQは新規のタンパク質であるため、CASTによるDNA転移反応の分子メカニズムは謎に包まれている。本年度は、大腸菌を用いて過剰発現させたCas12k、TnsB、TnsC、TniQをNiNTAカラム、イオン交換カラム、ゲルろ過カラムを用いて高純度に精製した。さらに、精製タンパク質を用いて結合実験を行い、Cas12k-ガイドRNA-標的DNAとTniQとの間の相互作用を確認することに成功した。さらに、Cas12k-ガイドRNA-標的DNAとTniQを混合したのち、ゲルろ過クロマトグラフィーを用いて複合体を精製した。精製試料をグリッド上で瞬間凍結し、クライオ電子顕微鏡を用いて観察することにより複合体の粒子像を取得、単粒子解析を行い予備的な密度マップの取得に成功した。今後は、Cas12k-ガイドRNA-標的DNA-TniQ複合体の再構成条件の最適化を行い、分解能の向上した密度マップを取得、構造決定を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Cas12k、TnsB、TnsC、TniQに関して高純度の精製試料を調製することに成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
Cas12k-ガイドRNA-標的DNA-TniQ複合体の再構成条件の最適化を行いクライオ電子顕微鏡解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
Cas12kとコファクターとの間の相互作用をさらに検討する必要が生じたため。
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