研究課題/領域番号 |
20K20588
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
遠山 育夫 滋賀医科大学, 医学部, 理事 (20207533)
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研究分担者 |
赤津 裕康 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (00399734)
柳沢 大治郎 滋賀医科大学, 神経難病研究センター, 准教授 (50581112)
水上 民夫 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 客員教授 (80367896)
金田 大太 医療法人さわらび会福祉村病院長寿医学研究所, 神経病理研究所, 副所長 (40564795)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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キーワード | 認知症 / AI / プリオン / 診断 / アルツハイマー病 / タウタンパク |
研究実績の概要 |
2020年度は、倫理委員会の承認を得て、プリオン活性を検出するバイオアッセイ系を構築し、アルツハイマー病患者および対照例の剖検脳および鼻粘膜サンプルを用いてプリオン活性を測定した。アルツハイマー病患者10例と非神経疾患対照例10例の剖検脳および鼻粘膜サンプルを用いてプリオン活性を測定した。その結果、アルツハイマー病患者からの試料で強いプリオン活性を認めた。蛍光強度は、いずれもアルツハイマー病患者で優位に強かった(p <0.05)。ELISA測定では、特に鼻粘膜サンプルでは、タンパク量が少なく、アルツハイマー病患者と対照例の間に優位な差は、認めなかった。これらの結果は、ヒトの鼻粘膜サンプルを用いたアルツハーマー病診断には、プリオン活性を測定する方がELISA法で測定するよりも診断能力が高いということを示している。これらの結果は、Journalof Alzheimer’s Disease Reports に論文発表した。 2021年度は、上記のプリオン活性系を用いて、アルツハイマー病例、対照例の脳サンプルのプリオン活性を蛍光顕微鏡で測定した後、蛍光を使わない位相差画像も取得した。AIを用いて蛍光を使わない位相差画像から蛍光画像で測定したプリオン活性を導くことができるか検討した。現時点では、AIを用いても蛍光画像で検出できるプリオンを位相差画像から正確に検出することは困難だが、AIを用いて位相差画像を解析することで、アルツハイマー例と対照例を区別できることが分かった。 2022年度は、培養細胞でAIを用いてアルツハイマー病を診断するための、AI技術を様々なプログラムを用いて検討した。また、ヒトの剖検脳組織、剖検鼻粘膜組織を用いて実際にリン酸化タウタンパクがヒト鼻粘膜に存在することを確かめ、Acta Histochemica et Cytochemica誌に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍で研究が遅れており、一部、まだ遅れを取り戻せていない部分がある。しかしながら、アッセイ系を確立し、AIプログラムの改良に進んでいる点、ヒトの剖検脳組織、剖検鼻粘膜組織を用いて実際にリン酸化タウタンパクがヒト鼻粘膜に存在することを確かめることができ、論文発表もしたことから、概ね順調に推移していると判断した
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は最終年度にあたるので、鼻粘膜サンプルを用いて、培養細胞のアッセイ系に投与し、AI技術を用いることで、アルツハイマー病を診断する技術の確立を目指す。アルツハイマー病診断における感度と特異度を判定する。技術が確立できれば、特許出願し、国際学術誌に論文発表することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染症のために、研究計画通りに進まなかった部分があり次年度に繰り越すことになった。次年度は、最終年度なので、計画通りに研究を遂行し、目的達成を目指す。
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