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2020 年度 実施状況報告書

選択的IgAクラススイッチ誘導によるアレルギー治療

研究課題

研究課題/領域番号 20K20594
研究機関東京大学

研究代表者

新藏 礼子  東京大学, 定量生命科学研究所, 教授 (50362471)

研究分担者 近藤 輝幸  京都大学, 工学研究科, 教授 (20211914)
森田 直樹  東京大学, 定量生命科学研究所, 助教 (80845107)
研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2023-03-31
キーワードアレルギー / クラススイッチ / IgA / 粘膜免疫
研究実績の概要

現在、アレルギーにおいては、まずTh2優位な状況がアレルギー病態のおおもとであると考えられている。なぜTh2優位であるかについては議論があるがよくわかっていない。申請者はアレルゲンが体内に侵入することがその根本原因ではないか?と考えている。つまり、アレルギーの根本治療はアレルゲンの体内侵入を減らすことであると考える。今回、申請者が提案する研究は、下図に示したように、IgEを産生するための一連の免疫反応の流れをどこかで遮断するのではなく、アウトプットを横道にそらし(IgAへの選択的クラススイッチ誘導)、その結果としてIgE産生を減少させるだけでなくIgAによる粘膜防御を強固にすることでアレルゲンの侵入を減らし、反応のおおもとであるTh2優位な状況を是正しようという試みである。スギ花粉によるマウスアレルギーモデルにおいて、Bryostatin 1の経鼻投与により、以下のアレルギー随伴症状の改善を確認した、
1、肺胞洗浄液中のIgE抗体価の減少、好酸球・リンパ球の減少
2、血清IgE抗体価の減少
3、鼻掻き様行動回数、くしゃみ回数の減少
また、in vitroのクラススイッチ誘導実験において、Bryostatin 1の添加により、IgAへのクラススイッチ効率の増加、およびIg Eへのクラススイッチ効率の減少を確認した。クラススイッチの変化の一因はBryostatin 1によりIgE遺伝子の転写活性が減少しIgA遺伝子の転写活性が増加すること、すなわちB細胞内の遺伝子転写制御によるものであることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

マウスアレルギーモデルで予想以上に良いBryostatin 1の効果が得られた。

今後の研究の推進方策

Bryostatin 1によりIgE遺伝子の転写活性が減少しIgA遺伝子の転写活性が増加すること、すなわちB細胞内の遺伝子転写制御によるものであることがわかった。この分子メカニズムを明らかにするため、PKC活性化と抗体遺伝子転写を繋ぐ分子、特にIgEとIgA遺伝子に対して逆方向に制御する転写因子を同定する。
上記と独立して、Bryostatin 1と同じ効果を持つ新たな化合物の合成を試みる。

次年度使用額が生じた理由

当該年度に予想以上にマウスの実験結果が良く、アレルギーモデル実験プロトコールのセットアップが順調にできたために次年度使用額が生じた。次年度には、さらに合成化合物によるマウス実験が予定されており、予定通り全ての助成金を使用予定である。

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公開日: 2021-12-27  

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