研究課題
昨年度までに、観察リウマチ患者の糞便からP. copri株(RA-P. copri)を単離し、RA-P. copriが、マウス関節炎モデル(CIAモデルとSKGマウスモデル)で健常人由来P. copri (HC-P. copri)より重篤な関節炎を惹起することを見出していた。今年度は、RA-P. copriによる関節炎重篤化のメカニズムを解析した。RA-P. copri、HC-P. copriを定着させたSKGマウスの大腸、所属リンパ節、関節からT細胞を回収し、IFN-gamma, IL-17を指標にTh1/Th17応答をフロー サイトメトリーにて解析した。その結果、RA-P. copriを定着させたマウスで、Th17細胞が増加することを見出した。骨髄由来樹状細胞をRA-P. copriおよびHC-P. copriで刺激すると、RA-P. copriで刺激した樹状細胞が、Th17関連サイトカインであるIL-6, IL-23を高産生した。以上の結果から、RA-P. copriは、腸管に定着すると自然免疫細胞を強く活性化し、Th17応答を強く惹起することが明らかになった。
2: おおむね順調に進展している
関節リウマチ患者由来のプレボテラ細菌が重篤な関節炎を発症する分子機構を明らかにすることができた。
RA-P. copri、HC-P. copriの全ゲノムシークエンスの結果を詳細に解析し、病原因子の同定を試みる。これにより、関節リウマチが病原性プレボテラ菌の定着(感染)により発症しうることを証明する。
研究は順調に進行しており、次年度使用金は今後の研究に使用する予定である。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)
Proc. Natl. Acad. Sci. USA
巻: 118 ページ: e2100594118
10.1073/pnas.2100594118
Int Immunol
巻: 18 ページ: 359-372
10.1093/intimm/dxab012