昨年度までに、関節リウマチ患者の糞便から単離したP. copri株(RA-P. copri)が、健常人由来P. copri (HC-P. copri)より重篤な関節炎をマウスモデルで惹起すること、さらにその分子機構として、RA-P. copriが樹状細胞を強く活性化しTh17細胞を多く誘導することを見出していた。今年度は、5名の関節リウマチ患者より単離した12株のRA-P. copri、5名の健常人より単離した16株のHC-P. copriのwhole genome sequenceの結果を解析した。その結果、複数種のP. copriは同株であることが判明し、RA-P. copriは5種の異なる株、HC-P. copriは8種の異なる株であった。本研究開始時より、RA-P. copriには、約100 kbのゲノム領域が挿入されていることを見出していたが、今回詳細に解析し同定した5種の菌株に共通してこの約100 kbのゲノム領域が挿入されていた。このゲノム領域は、ドランスポゾンに特有の配列を有していた。これらの結果から、RA-P. copriは、水平伝播により本領域を獲得していることが明らかになった。本領域は、HC-P. copriには存在しないことから、病原性を担っている可能性が示唆された。
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