研究課題
1. GPNMB、PMEPA1/TMEPAI、TSC22 Homologous Gene-1 (THG-1)などの遺伝子のノックアウトまたはノックダウンによって、幹細胞遺伝子の発現誘導が失われ、これと共にスフェアや腫瘍形性能が失われることを示した。最初、トリプルネガティブ乳癌細胞を用いて発見したGPNMBとPMEPA1/TMEPAIによるこの現象は、膵癌細胞でも同様の結果となることを確認した。GPNMBのノックアウト細胞は樹立できず、GPNMBは、がん細胞のコロニー形成性増殖に必須であることが示唆された。2. ヒト喉頭がん組織においては、GPNMBの発現が高い細胞は、Ki-67陰性の増殖が停止している細胞であることを示した。ヒト喉頭がんでもGPNMBは、増殖が停止している癌細胞で発現し、悪性化に関与していることがパブリックデータベースにおける予後解析で示された。3. GPNMBは特殊な翻訳後就職を受け、この領域がリガンド分子の結合部位となり、細胞表面に移行すると受容体として機能して、幹細胞誘導に関与する機構を示した。また、GPNMBの機能には、増殖因子のシグナルによる細胞内ドメインのhemITAMのチロシンのリン酸化と共にセリンのリン酸化も必要であることを示した。4. 遺伝子導入を行なっていない患者由来がん細胞のオルガノイド培養のライブイメージングで、GPNMBに結合する特殊環状ペプチドを用いたがん幹細胞の検出を行い、GPNMBを標的とする抗体の作製を行った。5. MKI67-Red eNLを発現する乳がん細胞の作製を行った。
3: やや遅れている
OCT4、SOX2、NANOGのプロモーターを用いたシステムでは、幹細胞遺伝子の発現と必ずしも重ならないことが示され得たため、SALL4と蛍光タンパク質の融合タンパク質を用いたレポーターも作成して追加で検討する必要が生じた。
1.GPNMB、TMEPAI、TSC22 Homologous Gene-1 (THG-1)などの幹細胞性誘導能をもつことを示した遺伝子のノックアウトによって、スフェアや腫瘍形性能が失われることを細胞増殖動態の変化のイメージ解析によって実証する。幹細胞のマーカーとして、これまで作成したOCT4、SOX2、NANOGのプロモーターを用いたシステムに加え、SALL4と蛍光タンパク質の融合タンパク質を用いたレポーターも作成して検討する。2.遺伝子導入を行なっていない患者由来がん細胞のオルガノイド培養のライブイメージングならびに患者由来異種移植腫瘍細胞のフローサイトメトリーで、特殊環状ペプチドまたは抗体を用いた増殖がん細胞とがん幹細胞の動態に関する定量的な解析を行い、通常の抗がん剤とGPNMBまたはTMEPAIの機能阻害薬を作用させた時の差異を可視化する。3.患者検体のがん細胞の増殖動態と抗がん幹細胞治療薬に対する反応性を解析するコンパニオン診断システムを構築し、がん幹細胞標的治療薬の選択方法として確立する。
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Cancer Sci.
巻: 113 ページ: 3244-3254
10.1111/cas.15359
https://www.md.tsukuba.ac.jp/epatho/service.html