研究課題
精神疾患患者は心疾患の合併率が高く、心疾患患者においては精神疾患の合併率が高く、さらに合併が精神疾患と心疾患の互いの予後に影響し合うなど、臨床的には双方の関連性が示唆されている。しかし両者の病態レベルでの関係性は不明で、合併例の治療戦略を立てる糸口がないのが現状である。以上を踏まえた本研究は、臨床所見、ヒトiPS細胞及びモデルマウスを活用した多層的解析により、心臓病態と脳病態の関連性を明らかにすることを目的とした。本年度は、健常者及び22q11.2欠失患者iPS細胞由来心筋細胞を対象にbulk RNA-seq解析を実施した。発現変動遺伝子群(22q11.2欠失患者vs健常者、p<0.05)を対象としたGene Ontology解析から、22q11.2欠失患者iPS細胞由来心筋細胞では発現低下遺伝子がゴルジ体および小胞体関連、カリウムチャネル制御因子関連termへ集積しており、これらの異常が示唆された。心臓におけるゴルジ体・小胞体の異常は、心不全や不整脈等の心疾患発症・進展に寄与することが多数報告されており、22q11.2欠失患者心筋細胞における脆弱性の原因の一つであると考えられる。我々はこれまでに22q11.2欠失患者ドパミン神経細胞において小胞体ストレス応答異常があることを明らかにしており、心臓と脳双方の病態背景に共通して小胞体異常が存在している可能性がある。現在、22q11.2欠失患者iPS細胞由来心筋細胞のゴルジ体、小胞体異常について詳細な解析を進めている。
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