研究課題
臓器移植後の慢性拒絶反応の制御を目的とした研究であり、de novo DSA産生に関与するTCR clonotypeを同定する試みである。令和4年度には、レパトア解析により、de novo DSA産生時の末梢血単核球(PBMC)、移植前、de novo DSA産生後のPBMCを用いドナー細胞を用いたMLR刺激後の増殖CD4, CD8とは類似したTCR clonotypeの存在が判明した。私どもが昨年開発した、活性化樹状細胞がドナー細胞を貪食し、T細胞に抗原提示するindirect recognition pathwayのアッセイを用いて、レパトア解析を行ったが、上記とは共通のTCR clonotypeを見出せなかった。de novo DSA産生時のPBMC、MLR刺激後(direct recognition pathway)に検出し有力候補と考えていたTCR は、de novo DSA産生とは直接関与しない可能性が示唆された。Indirect recognition pathwayのアッセイを用い、ドナー細胞を貪食した樹状細胞により活性化したT細胞を回収してsingle cell RNA解析を行い、MLR (direct recognition pathway) により活性化したT細胞と比較した結果、まったく異なるphenotypeを持つ集団であることが判明した。しかし、十分なクローン性増殖(クローンの収束)がみられなかったことから、より効果的なペプチド抗原提示が必要とされる。ドナー細胞の貪食ではなく、シングルHLA分子、HLA高発現細胞(現在HLA class I, II遺伝子導入細胞を開発中)をも用いる。濾胞ヘルパーT細胞(Tfh)から濾胞制御性T細胞(Tfr)に向かうためには、樹状細胞への抗原の取り込み方から活性と抑制(onとoff)が切り替わる。De novo DSA産生に関わるTCRクロノタイプを同定し、産生予防(治療)という目標を達成するため、次のステップに進む課題が明確になった。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (1件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)
Transplantation
巻: 107 ページ: 1079~1088
10.1097/TP.0000000000004491