研究課題
安全性の高さ、生体表現型に及ぼす影響の強さ、から、アデノ随伴ウイルスベクター(AAV)を用いた遺伝子治療の臨床研究が急速な広がりを見せている。AAVは遺伝子治療ベクターとして優れた特質を有するが、搭載可能遺伝子長が短い、off-target 効果が強く認められる、など固有の限界を有する。本研究では、局所的原因によってもたらされる難治性病態に対する治療的介入法の開発を目的とした。既存のAAVカプシドについて、同一のGene of interestを搭載したAAVを作成する際に、AAVカプシドの種類によってパッケージング効率に大きな隔たり、特異性を認めることを確認した。相対的に長鎖配列に対して高いパッケージング効率を有するカプシドの開発を進めるために、新規AAVカプシドバリアントライブラリを作成し、定方向進化法による新規AAVカプシド開発を開始した。全身的なAAV特異的抗体投与による局所的AAV作用特異性向上の可能性を検討するために、既存のAAVの中でイムノグロブリンによる不活化を受けやすいAAV2について、ヒトイムノグロブリン抗体による不活化作用を調べたところ、濃度依存的にAAV2の作用減弱を認めた。局所的AAV投与に際して、コントロールリリースを目的とした新規キャリア物質を用いることによってターゲットとなる組織に高い特異性をもって遺伝子導入を行う方法論の開発を進めた。実際に、ターゲットとする組織局所の遺伝子導入効率を保ちながら、周囲組織や遠隔組織におけるoff target effectを減少させる方法の開発に成功した。また、キャリア自体の皮下組織における代謝特性を明らかにした。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
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