研究課題
地下鉄構内の粒子状物質の化学的性質と呼吸器系、アレルギー・免疫系、循環器系への影響を明らかにすることを目的とした。これまでに、屋外大気粒子ではCu(II)の割合が多かったのに対し、地下鉄構内ではCu(I)が存在し、Fe(II)とFe(III)の化学形態が異なる可能性を示した。酸化銅粒子(CuOとCu2O)を、気道上皮細胞およびヒトマクロファージ様細胞に曝露したところ、何れもCuOと比較してCu2Oの方が強い細胞障害性を示した。酸化鉄粒子(αFe2O3, Fe3O4)を気道上皮細胞、骨髄由来抗原提示細胞、血管内皮細胞に曝露したところ、細胞活性の低下、催炎症・酸化ストレスに関連する遺伝子や鉄イオン細胞内取り込みに関与する遺伝子発現の増加、アレルゲン存在・非存在下における炎症性サイトカインの増加、線溶系調節因子および血管収縮に関わる分子の変動が認められた。特に、抗原提示細胞や血管内皮細胞における炎症応答あるいは細胞死は、屋外大気粒子と比べて影響が強い傾向にあった。最終年度では、開発した小型開閉型サイクロン装置の粒径毎の捕集効率を明らかにした。また、ヒト気道上皮細胞に酸化鉄粒子を曝露したところ、γH2AXの発現上昇が認められ、酸化鉄粒子を経気道曝露したマウス肺組織においても気管支上皮細胞におけるγH2AXの発現増加傾向が見られた。一方、酸化鉄粒子は、卵白アルブミン(OVA)喘息モデルにおける好酸球数、杯細胞数、Th2サイトカイン産生、肺CD86陽性細胞数、2型自然リンパ球数を増加させ、一部は酸化鉄の種類によって影響が異なった。エンドトキシン(LPS)投与モデルでは、酸化鉄単独曝露と比較し、細胞死、好中球数等が亢進し、血管周囲に炎症細胞および浮腫が確認された。
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