研究課題/領域番号 |
20K20615
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川上 浩司 京都大学, 医学研究科, 教授 (70422318)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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キーワード | 母子保健 / 学校保健 / 乳幼児健診 / 疫学研究 / 公衆衛生 / 学校健診 |
研究実績の概要 |
令和3年度は、令和2年度に引き続き、COVID-19流行下での研究活動となり、出張の自粛など研究活動への制限が生じたが、その中でも、乳幼児健診情報と学校健診情報のデータベース化と連接を進めると共に、乳幼児健診情報に関する電子健康手帳(personal health record:PHR)アプリの開発を進めた。 また、乳幼児健診情報と学校健診情報を連接して構築した、子どもの健康を縦断的に調査できるデータベースを用いて、乳幼児期と学童期の体重と身長の変化を追い、子どもの肥満傾向の評価に関する疫学研究を実施した。2018年に15歳だった35,461人(20市町村)の児童を対象とした。一般的に子どもの肥満度の評価手法として用いられているBMI(Body Mass Index)やPOW(percentage of overweight)においては、その時その時の身長と体重のみで肥満度が評価されているが、今回は、子どもの成長する時期には個人差があることを踏まえ、最大発育年齢(Maximum Increment Age: MIA)により成熟度別にグループ分けしてBMIやPOWで肥満度を評価した。その結果、最大発育年齢を加味せずにBMIやPOWを用いた肥満の評価においては、早期成熟児では肥満が過大評価され、晩期成熟児では肥満が過小評価されている可能性が示唆され、その時点の身長と体重のみを用いて小児の肥満を評価することは困難であるという結論を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度は、COVID-19の流行のため、全国各地の自治体や教育委員会への訪問や会議が大きく制限され、各自治体との研究開発のための準備や新規提携に支障が出た。ただ、その中でも、昨年度に運用を開始した乳幼児健診にかかるPHRアプリの改修を実施する、疫学研究を実施するなど、この状況下でできることを進めており、多少の遅れに留まっている。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19の流行下では、全国各地の自治体への出張が度々大きく制限されるため、ある程度収束するまでは、自治体や教育委員会との打ち合わせは、可能な限り、Zoom等の遠隔で実施する。現地へ赴ける状況になった時に、速やかに試験や実装が進められるように、可能なところまでシステムの開発を進めておく。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2,3年度はCOVID-19の流行により、出張ができないなど、研究活動が大きく制限されたため、次年度使用額が生じた。次年度以降、感染状況を見ながら、両年度に実施予定だった研究活動を進めて助成金を使用する計画である。
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