研究課題/領域番号 |
20K20615
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川上 浩司 京都大学, 医学研究科, 教授 (70422318)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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キーワード | 母子保健 / 学校 / 乳幼児健診 / 疫学研究 / 公衆衛生 / 学校健診 |
研究実績の概要 |
令和5年度は、134自治体の63,377人の学校健診情報データベースを用いて、地域の社会経済指標と学童の肥満との関係を検証した。肥満の定義は国際肥満タスクフォース(IOTF; International Obesity Task Force)のBMI基準を用い、小学3年生の3.51%(中央値)が肥満と判定した。また、成長曲線を作成し身長・体重の分布が既存の報告に類似することを確認し、本研究で用いた学校健診情報は一般集団を代表したものと判断した。社会経済指標は「政府の総合統計ポータル(e-Stat)」より取得した、人口規模、財政、教育、産業、施設環境に関する5分類25変数を解析に組み入れた。解析は各自治体の小学3年生時点の肥満児の割合を目的変数、上記指標を説明変数として回帰分析で行い、人口増減率、母子世帯割合、完全失業率が肥満に寄与する因子と特定した。財政力指数、最終学歴人口割合、国民健康保険被保険者受診率は肥満を減少させる因子であった。以上の報告について、現在国際誌への掲載に向けた取り組みを行っている。これまでの研究では小児肥満と社会経済指標について、限定的な対象や地域に焦点を当てたものが多く、広範かつ信頼性の高いデータを用いて全国的な傾向を明らかにした点で進展を得たと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度に運用を開始した乳幼児健診にかかるPHRアプリの改修がすすみ、また、疫学研究や調査研究の準備も進行している。
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今後の研究の推進方策 |
調査研究については、 COVID-19の影響もあり、全国各地の自治体や教育委員会を通じた活動は制限もあったため、調査よりも、データベースの活用や、健康系以外のデータと合わせて、母子保健や学校健診のデータのより発展した活用を模索して研究をまとめていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和4年度まではCOVID-19の流行により、出張ができないなど研究活動が大きく制限されたため、次年度使用額が生じた。次年度は、今後の研究の推進方策に記載のように研究活動を進めて助成金を使用する計画である。
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